「普通」もそうですけど、「変態」って何を意味するんでしょうね…。
私が思うに、変態じゃない人っていないんですよ。多分。
"性欲が収まらない人"を意味するのなら、純(金子大地)のような同性を好む人より
異性を好む人の方が沢山いるわけ。
亮介(小越勇輝)だって、純が飛び降り行為にまで発展させなければ
あんなカミングアウトはしなかった。
以前では、クラスメイトの男性たちが、やらないのかとか指のおまじないだとか
積極的に聞いてくるシーンもあった。
もう一つ"変わった人"を意味するならば、紗枝(藤野涼子)も当て嵌るでしょう。
BLが好きな人。ドラマや本の登場人物に対して想像を繰り広げる人。
夢女子になる人。誰もいない場所で独り言を言いまくる人…
つまりは、「自分の事は何も言わない」だけで、
自分では恥ずかしいと感じている趣味嗜好を
周囲に秘密にしている人々ばかりなんだと思うんですよね。
愛するがための行為は同じなのに、"異"性と"同"性の一文字違いなだけなのに、
ゲイだからって態度を変える小野(内藤秀一郎)は本当に酷い。
純はマイノリティ側だから気持ち悪い。自分はマジョリティ側だから
みんなの代表者だという正義感を振りかざす。
どの人も小野と同じ思考を持っている訳ではないのですが、
「青春」「思春期あるある」の詰まった高校には、必ず小野みたいな人はいる。
それが純にとっては窮屈だった…。
窮屈だったとは言え、普通の幸せが欲しいからと、紗枝を利用してしまったのもまた事実。
些細な言動やほんの小さな意図は相手を傷つける。
これは、ゲイでもレズでも異性愛者でも関係ない、誰もがやってしまいがちな事ですよね。
けれども、純の相手が紗枝じゃなかったら、"ありのままの自分"を告白する事もなく、
壁を作って高校生活を送っていたと思います。
学校内でカミングアウトしたのは迂闊でしたが、
受け入れて急いで駆けつけてくれたのが紗枝で良かったです。
最後の飛び降りからの救いのシーンは、息の詰まる展開続きでした。
静かに流す涙。数分間と思うくらいの真っ暗闇。目の前に相手の顔が見える事の幸せ。
こう言うのは簡単ですが、脚本、演技、演出、どれを取っても
最上級の仕上がりだったんじゃないでしょうか…
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