前回はドラマチックな所が強い印象でありましたが、
最終回である今回は「出会いと別れ」を踏まえた素敵な話にまとまっていたと思います。
今まで明らかにされなかったファーレンハイトの正体は、なんと中学生でした。
それ以外は特に語られていません。
ですが、歳は違えど、純(金子大地)と学生同士だったという事、
母親の「治らなかったんですね」の発言で、
彼がなぜ15歳の若さで命を絶ったのかは…何となく分かる気がしました。
多分、学校という集団生活において、
純が受けてきたのと同じ苦しみを味わってきたのかもしれません。
共通点は一緒なのに、なぜ純は新たな人生を送る事が出来て
なぜファーレンハイトは亡くなったのか…は、
「ありのままの自分を見せられる人」に出会えたかそうでないかで
大きく運命が変わってしまったんだと思います。
純は紗枝(藤野涼子)という存在に出会って自分らしさを見せる事が出来たけれど、
ファーレンハイトはネットで仮面を被りながら生きていくしかなかった。
その運命の差の残酷さを嘆く純くん。救いのないシーンでした…。
後に紗枝と別れ、別々の場所で新たなスタートを切った二人。
純は自己紹介で何て言おうとしたのか?で課題を提示するラストとなりました。
私は本作を「マイノリティの立場にいる人が、どう自分を曝け出していくのか?」
がテーマであるドラマだと考えています。
なので、あの最後は、視聴者に純がなんて言ったのか?の続きを想像する
キッカケを残してくれたのもあるのでしょうが。
現代の日本はLGBTを話題に挙げつつも、
本当に「ありのまま」を誰かに告白出来る社会になっているのか?
という、社会全体への問いかけにもなっていたとも思います。
問題提起だけでなく、学校で誰もが経験する
キラキラしたイメージであろう「青春」の見えない部分=闇、
その「青春」に苦しめられている一人の学生の心情まで描き切った
ある意味「学園ドラマ」として意欲的な作品でした。
そして何より、金子大地さんと藤野涼子さんの熱演っぷりに心を揺さぶられましたね…。
金子さんは10代だからこその繊細な気持ちとか、
普通になりたくてもなれない複雑な立ち位置を、表情や目線の機敏さを通して
上手く演じられていたと思います。
藤野さんは途中まで「ひよっこ」の豊子だと全然気づかなくて…(笑)
何事にも真っ直ぐな所や透明感、若さ故の初々しいキャラに終始魅せられっぱなし。
純と紗枝は、この二人でしか考えられない程のハマリ役でした。
私は純と同じようなLGBTの人ではないし、その人が周りの友達にもいないから
「分かった気になるな!」って言われそうですが、
本作を通して、最初の頃よりも純の気持ちが理解出来たと思ってます。
感想を書くにあたって、私が感じた事は本当に合っているのか?
誤解されるんじゃないか?と悩む事が多々あり、
それで文章化するのも遅くなりがちでしたが…
そんな風に考えさせられる程、本作とは、
主人公に共感して、同じように苦しい気持ちになって何度も見続けた、
貴重な出会いだったと考えます。
心情描写は丁寧だし、QUEENの曲は映画の事もあって丁度良いタイミングだったし…
今の時代に作られるべくして作られた作品だったんじゃないでしょうか。
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