まさか、初回で今宮(木村文乃)が放った
「がめつい年寄りをピンポイントで狙って下さいよ!」の一言が
加地(高杉真宙)の運命を変える事になってしまうとは…。
前回の店長が全裸で水死したのとはまた別の、じわじわと衝撃に襲われるラストでした。
加地を一度は捕らえられたものの、
彼に核心を突かれて握っていた手を離し、逃がしてしまった今宮。
どんな理由、過程があれ、犯罪者に"同情"する事は
警察としてあってはならない行為。
けれども、彼女に何やってるんだ!とは簡単に責められない…
それは今宮と一緒で、詐欺に手を染めてしまった者がまた詐欺に関わらないで欲しい、
善良な市民であって欲しいと、心の奥底で彼を信じていたからなのかもしれません。
相手に対して「信じたい」強い気持ちがあったからこそ、
警察も本当に悪い奴を捕まえろよ!という言葉に共感して
一瞬でも彼を許してしまう…今宮の行為は実に人間味のあるものでした。
でも、そういう人に限って騙されやすいという例をも見ているようで。
こうやって詐欺は増えていくのだな…と、静かな恐怖に襲われるシーンだったと思います。
今宮が人より感情的で、肩入れしやすくて…といった性格である事は
初回からじっくり描かれてきました。
他のドラマだったら「型破りの変わった主人公」という点で、
主人公の行為言動を前面に押し出し、ヒロインとして扱う描写が多いのかもしれませんが、
本作の場合は「何かを信じる事は人間の"弱さ"」である事が
今宮を通してブレずに描かれています。
だからその分、今回ならば「鼠小僧に大義なんてない」などの言葉に
時々ハッとさせられて、心に刻まれるシーンが多々ある。
かけ子を追う調査過程の丁寧さ、今宮をしっかり正してくれる上司の存在がいる事、
そして逮捕する時には応援要員が必ず数人用意されている事(←これ大事!!)。
NHKのドラマはぱっと見は地味なイメージの作品が多いものの、
それでも面白いと感じられるのは、事前に取材してきた内容が
ドラマとして上手く落とし込められているのが伝わるからなんですよねぇ。
次回はもう最終回。
詐欺のメソッドを作ったのが𢌞谷(青木崇高)だと予告で明かされたので、
今宮と𢌞谷の対峙シーン、そして、首魁(田中泯)が今宮に接触しそうなエピソードが
重点的に描かれるのでしょう。
3話からずっと「全5話で描ききれるのか?」という不安は少しありますが、
どんな結末を迎えるのか、楽しみにしております。
加地くん、生きてると良いけどな…。
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