時系列がトントン拍子のように進んでいて、
途中で分かりづらく感じる時があった…というのが第一の印象でした。
全5話の短い話数で1つの案件の結末まで描くとなると、
テンポが速くなってしまうのは分かりますが、
もうちょい時間軸の描写を減らしてスッキリ整理して欲しいかな?と思います。
とはいえ、その点を除けば、中々真摯な作りになっていたんじゃないでしょうか。
主人公・今宮(木村文乃)は真実を追求する為に調査に尽くす
強い意志の持ち主ではありますが、ドラマでよくある正義感を押し通すキャラには
仕立て上げず、基本的にカラッとしたヒロインなのに好感が持てますし。
また、今回の結末は「彼も傷を抱えた人間だった」という内容ではありましたが、
下手したら主人公を使って情で訴えかける展開になってしまいかねないものの、
気を衒わない演出や静かな劇伴のお陰で、詐欺を追う者と追われる者、被害に遭う者の
三者三様の心情が丁寧に映し出されていたように思います。
詐欺グループの実態と詐欺に手を染めてしまう人の動機の描かれ方もまた丁寧で、
典型的な「悪の組織」をイメージして捉えていない所を見ると、
本作を描くにあたって、しっかり詐欺についての調査をされたんだろうなぁと。
だから、青年・梶(高杉真宙)がなぜ詐欺に関わったのかも、
悪い事とは言え生い立ちには同情出来ますし。
何か要点を突くと都合の良いように解釈して返答する取り調べのシーンを見ると、
ああ、こうやって若者の心を掴んで徐々に洗脳させて行くんだろうな…という
ゾッとした恐怖を覚えさえもしました。
梶だけでなく、他の青年はどうしてあの詐欺グループに加入したのか?と、
その人達なりのバックグラウンドも知りたいという興味もそそられます。
一見地味ではありますが、ドキュメンタリー部分とドラマ部分の塩梅も良く、
今後に少し期待の持てそうな作品です。
終盤の、今宮が梶のお気に入りの曲を聞いて
「(再生回数22回分は)私が聞いた分です。結構好きです。」と
彼と同じ立場に立って向き合うシーンも、直接的な形ではないけれども
どこか彼の今後に救いがありそうな予感がして、好みでした。
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