柔らかい雰囲気にどこか優しい気持ちになれるなぁとか、
どこか切ない気持ちにさせられるなぁとか思いながら、今まで本作を見ていたのですが…
今頃になってようやくある事に気付きました。
そう。役者同士のやり取りにおいてもストーリーの進行においても、
とにかく「間」がよく作られているのです。このドラマ。
平(時任三郎)と嶋田(柄本明)の間に会話がなくたって、草刈機を持って来て
時間を忘れるまで妻の遺骨を一緒に探していたという動作を示す描写さえあれば、
「探すのは止めろと前に言ったけど、お義父さんも本当は不安なんだ」
「ほんの欠片でも良いから、見つけて早く苦しみから解放されたいんだ」
というのが十分に伝わるし。
また、そのシーンがあるから、手袋に入っていた骨が妻の物ではなかったと知り
車を止めて泣く平のシーンだって
「お義父さんもきっと泣いているんだろう」と想像出来る。
分かりやすい台詞で分かりやすく感動させようとしない作りは前から好感が持てましたが、
この人物が今どんな気持ちなのか?は視聴者の考えに委ねて、今回の場合は特に
「同じ空気が流れている日々の中で、皆それぞれの形で今と向き合っている」を
表現した秀作回になったのではないかな、と思います。
ただ、事件パートと同時進行&交互に描かれていて輪郭がボヤけ気味な印象は受けたので、
震災パート1本に絞っても良かった気はしますが…まぁ、そこは良いでしょう。
手袋の骨は君子(石田ひかり)の物ではなかったものの、
当時下にいたみずえさんの物だと判明し。
最後まで母は誰かを助けようとしていたんだという事が分かっただけでも、
「彼女は確かに生きていた」手がかりが掴めた点で
ほんの少しの希望は見出せたかもしれませんが…
やはり、「心」じゃなくて「形」として見つけ出したいものですよね。
行方は分からず、まだまだ不安な心境にいる朝顔(上野樹里)たち。
切ない結末の中、朝顔と桑原(風間俊介)の間に寝る娘・つぐみ(加藤柚凪)の
存在にかなり救われた感じがしました。本当に寝ているかのような姿にほっこり。
自分の近くに家族がいれば、いつかは「死」という悲しい現実が襲ってくるのも事実ですが、
いる事によってまた「幸せ」がもたらされる事があるのも事実で。
3人が川の字になって寝るシーンは、
そんなささやかなメッセージが込められていたような気がして、
自然と余韻の残るラストとなりました。
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