どこかに妻の遺骨があると信じて、未だに探し続ける平(時任三郎)と、
遺骨が目の前にあっても引き取ろうとせず
「処分して」と言う被害者の息子・中島(岡田義徳)の対比。
「命とどう向き合うかは人それぞれ」を提示した回でした。
中島がなぜ「処分して」と言ったのか?なぜ冷たい素振りを見せたのか?
そこには、父との確執があったのだと思います…が、それは本人たちにしか分かりません。
平が妻から朝顔の名前の由来を、生きている内に聞き出せなかったように、
大切な命を失ってからでは、「真実」じゃなくて「憶測」でしか
その人の真意や物事は語れず。
今回の事件も、認知症になった父が治療も受けず病状が悪化し、
徘徊していた所を転んだのを犬が助けようとしたのではないか…と朝顔(上野樹里)は
推移を語っていましたが、これも「憶測」にしか過ぎないのです。
だから、「不詳の死」。
何が言いたいのかと言うと、このドラマは監察医としての職の範疇を超えた
(ドラマでやりがちな)推理・捜査の仕事はせず、
あくまでも「生きた証=かたち」を見つける事だけに重点を置いて、
監察医だから出来る事、として、丁寧に調査に取り組んでる姿が
描かれているのが良いんですよね。
監察医が得る情報は、遺体を解剖する事による事実のみ(性別、年齢、健康状態…)。
どうやって亡くなったのか、を考えるのは警察の仕事だから…という
差別化がきちんとなされていると思います。
朝顔たちが中島の事情に踏み込まなかったのもその為じゃないかと。
命を軽く扱う人もいれば、命に親身に寄り添う人もいる。
本作は、命とはこうあるべき、を押し付ける訳でもなく、
ただ「その人が命とどう向き合っていたのか」の結果だけを求めていくドラマ。
平がタレを服にこぼしたり、何が食べられるのかのメモを残したりする
何気ない行為も、「生きた証」の一つであって。
日常描写も仕事描写も、気を衒わず描く所もお気に入りです。
終盤では赤ちゃんが生まれ、
それから何年後かまで家族で育てながら過ごしているようで、
あっという間過ぎて少しでも「支えあう姿」を見たかったかな〜という
気がしなくもないですが…
次回からの第2章は、「"母になった"監察医 朝顔」が始まります。
母として命に対する考えがどう変わったか、
どれだけ仕事に誠意を込められるようになったか…
新しい変化が見られそうで、楽しみです。
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