「あの時声をかけていたら」「もっと俺があいつの異変に早く気づけていたら」
チャンスはいくらでもあったけど、自身の刑事としてのプライドが邪魔をし、
結局押せないまま終わってしまったスイッチ。
そこに「1個1個のスイッチが人生で、大事にしてぇの」「諦めたくねぇの」
まだ押されていないスイッチを見つけたら1つも残さないと言わんばかりに
グイグイ押してくる人が現れる。
相手の考えを否定するでもなく、無理強いするでもなく、
押せないスイッチがあるなら押せるスイッチを増やせば良い…
互いを補い合おうとする伊吹(綾野剛)と志摩(星野源)の関係性が
深まっていく様を見届けた回でした。
2話で志摩が「人は信じたいものを信じる」と言ったのも自分自身を指しており、
夜に屋上を訪れて相棒の背中を押してあげられる自分でありたかったという理想を
脳内で捏造しては何度も想像していた事でしょう。
そして、そうやって過去から逃げていた状態を現実に引き戻してくれたのは、
体を張って真実を知ろうとした伊吹の誠実さと生命力。
道を転がり続けてやがて落ちる玉が志摩ならば、
その玉を受け止めるのは伊吹。
そんな2人の関係性を象徴を示すかのような3話のピタゴラスイッチのシーンに、
4話での銃口を向けた男を睨みつけた志摩の冷たい目線…
今までにばら撒かれた印象的な要素は全て今回の話に繋がっていたのだと思わせる、
ここまで見てきた視聴者が自ら両者の想いを汲み取る形で実感する
"さり気ない"伏線回収の仕方には天晴れとしか言いようがありません。
ずっと掛けてたの?と疑問だった垂れ幕の件もしっかり理由が。
物語上で「都合の良い展開」を作り出さないようにする所も抜かりないです。
今まではジト目で口角の下がった顔つきのイメージだった志摩が、
妊婦から高坂(村上虹郎)への感謝の言葉を聞いた途端に、
彼は最後まで"警察"だったのだ…という事実に救われるかのように
徐々に表情が和らいでいく姿にはちょっと泣けてしまいました。
星野源さんと言えば、「逃げ恥」の時もそうでしたが
堪えきれないくらいの涙を含ませた声を発する演技が凄く好きで。
なので、今回の変化の仕方には見てるこちら側もホッとしたものの…
中間地点で志摩の話を1話分ガッツリ書いてきたとなると、
伊吹にも何か隠された過去があるんじゃないかと気になってしまいますねぇ。
志摩の方は所々で危うさをチラつかせていたため
いつか取り上げられるのだろうという覚悟はありましたけど、
伊吹の方はポジティブでいようとする姿を見せる事が圧倒的に多いので
一人の時は何を考え込んでいるのかとかは全く読めないし、分からない。
俺は死なない!と自信に満ちた表情を見せるシーンで
あえて手がピンボケになっている演出が施されていましたが、
実は生命線が物語に大きく関わって来るんじゃないでしょうかね?
次回は菅田将暉さんだけでなく、
りょうさんとKing Gnuの井口理さんも登場されるとの事。
そこまで話題性の高い方をキャスティングしなくても
視聴率は取れるだろうし、欠かさず見るのに!!
本作の予算ってどうなっているんでしょう(笑)
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