ノーサイド・ゲーム 最終回 感想|今週から始まるリアル大会に向けての、最高のバトンタッチ。

 

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脇坂(石川禅)にギャフンと言わせるくだりは、前半30分くらいでサクッと解決。

残りの時間は、もうドラマパートは良いから、

俺たちが誠意込めて作った試合の演出と役者の演技の集大成をとにかく見てくれ!!

と言わんばかりの潔い構成となりましたが…

その作り手の熱量が確かに伝わった最終回だったと思います。

 

いつものようにスローモーションと

抉られる音を巧みに使い分けて迫力を生み出す画作りは安定していて、

流石と言った所で。

それに加えて、浜畑(廣瀬俊朗)と七尾(眞栄田郷敦)が

いかに絆で結ばれた関係であるかが分かる演出と、

選手それぞれがスポーツマンシップにのっとって試合に挑む姿が描かれるという

胸を熱くさせるツボはしっかり押さえつつ…

ラグビーのルールはよく知らない君嶋の妻・真希(松たか子)の視点も重ねる事で、

視聴者と同じ目線に立って試合を「感じながら」楽しめば良いんだ、とする

面白い工夫もあり、延長時間を忘れて最後まで興味深く見られました。

 

主題歌が2回流れた点に関しては、他の作品だったら

感動させようとして乱用するなんて〜とツッコミたくなってしまうもんですが、

本作に関しては「乱用してでも流す意味」がしっかりあったと思います。

1つ目は、GMの君嶋(大泉洋)と選手の浜畑が築き上げてきた関係を示すもの。

2つ目は、選手生命を終えようとしている浜畑が、

脚がどうなってもラグビーに全力を捧げたい、

有終の美を飾りたいという強い意志を示すもの。

 

特に前者に関しては、覚悟を決めた浜畑に君嶋が抱きしめる様子は

「選手への愛情」そのものであって。

主題歌のタイミングが良い事は以前にも褒めましたが、

今回はそれに「これが愛じゃなければ なんと呼ぶのか 僕は知らなかった」という

歌詞が重なったのには鳥肌が立ち、自然と涙が溢れるシーンでした。

 

最後は「ノーサイドは、今この世界だからこそ必要」といった

綺麗な解決方法で、物語の幕は下りる…。

今週の金曜日からはリアルな方のラグビー大会が始まりますが、

この丁度良い流れから考えるに、恐らく最初からそれを狙って

日程調整や脚本を練っていったのでしょうね。

泥臭く、衝突もありつつ、けれどもラグビーに全力で打ち込む選手の姿を存分に描き、

「ドラマ面白かったし、見てみようかな」と視聴者に興味を持たせるには

最高のバトンタッチだったと思います。

 

 

視聴前は「またどうせ、いつもの暑苦しい池井戸班作品なんだろうな〜」程度で

あんまり期待してなくて、

顔芸や顔どアップや夕日の映像など、確かに"らしい"演出もありはしましたが…

全体的に「池井戸作品だけど池井戸作品じゃない」ような新たな風が感じられたのは、

大泉洋さんの起用が大きかったのかなぁと。

 

序盤の話での相撲の回し姿や、家庭では奥さんにあれこれ反対される姿には、

本当にこんなGMで大丈夫か?ってくらい弱々しい印象があったものの、

底辺だったチームを育成してきた事で、自分に自信が生まれ、上司にも凛とした態度で

挑めるようになる…という人間臭い成長過程を見せるには

説得力の強い俳優さんだったんじゃないでしょうか。

個人的には、目を充血させて怒鳴ったりしなかった点にも好感が持てました(笑)

 

主題歌も最初は、え…池井戸班に米津さん…?という驚きがあって

慣れない状態だったものの、回を重ねるにつれ、本作にはこの曲しかないと思う程

親和性が生まれてましたし。

むしろ、どストレートに熱い曲調でなく静かに熱くさせる曲調だったからこそ、

最終回で2回流すのにも全然クドく感じなかったのかもしれませんね。

挿入するタイミングはいつも気持ち良いもので、もはや安心感がありました。

 

会社の人達や選手達が やけに子供っぽい態度をとる描写に

気になった時もあったので、それさえなければもっとアストロズを応援出来たのかも

しれないのにな〜という勿体無さは少し残りましたが、

それでも、「終わり良ければすべて良し」と胸張って言える締めだったと思います。

 

君嶋部長。浜畑新GM。そして、アストロズの皆。

これからの未来に、幸あれ。

 

 

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