ばらかもん 10話 感想|時間は流れ続けるからこそ…

 

 

本来経営者である自分がやるべきお金の内訳作成を

川藤(中尾明慶)がやってくれてニヤリ…じゃないのよ、清舟(杉野遥亮)(笑)

でも分かる。付き合いが長ければ長いほど、相手の方が何だかんだで世話を焼いて、

面倒な事も結局1人で引き受けてしまうのってあるあるなんですよねぇ。

 

今回は、清舟のマネージャーで、どうやら"親友"で、酒癖が悪い以外に

あまり深く描かれる事はなかった川藤と2人の関係性に

やっとスポットライトが当たりました。

困ったらすぐに川藤に助けを求めるような目で見てくる清舟の様子も含めて、

清明遠藤憲一)とは別ベクトルで、長年支えてもらっていて、

マイペースに生きる彼を軌道修正してくれる人だったんだろうな…という

明かされない学生時代まで自然と想像させられました。

 

また、前回でなる(宮崎莉里沙)が清舟に対して

「半田先生は半田先生。それ以外思いつかないよ。」と返していたけれども、

今回では川藤が「半田先生は半田先生だろ」と言っていたのが、妙にジーンと来てしまって。

言葉を反復させる事で、清舟にとってはなるの他に、

川藤も特別な存在なのだと思わせる描写をしてきた所も良かったです。

で…なるはなるで、「仲直り」ではなく

「仲直し」って言い切っちゃう所が彼女らしいなぁ…と。

そこにはきっと、人付き合いが当たり前にある島で生きてきたからこその、

"日常"が消えないで欲しいという切実な願いが込められているんでしょうね。

川藤が経営方面でフォローする一方で、

なるは2人の人間関係を繋ぎ止める仲立ち的ポジションで徹底していて、

両者の優しさを感じさせる内容に仕上がっていたと思います。

 

他にも、美和の父・巌(宍戸開)が酒店を畳むという

サブエピソードが用意されていましたが、

これが何気に、今回の話の軸になっていたんじゃないでしょうか。

店を畳む理由が、市内に大きなスーパーが出来たから…との事でしたが、

地元の人々との交流重視でゆったりとした商売をやろうが、

利益重視で積極的に商売をやろうが、時間は流れ続けて、いつか終わりが訪れる訳で。

つまり、不変なんてものはないというのを示しているのです。

 

そんな酒店と対比させるように、清舟が書道教室を一から作ろうとしている過程だけでなく、

将来の夢が何なのかが分からなかった美和(豊嶋花)が

父の店を継ぐためにお酒や経営の勉強をしたいという夢を持ったり、

彼女に触発された珠子(近藤華)がコンクールに出す用の原稿を思い切って投函したり、

試験に落ちた浩志(綱啓永)に再びチャレンジするよう背中を押す清舟だったり…。

時間は待ってくれないからこそ、後悔する前にそれぞれが新たな一歩へと進み出す姿が

描かれていたのが印象的でした。

それと同時に、見た者がインスピレーションを受けて行動に移すのが

芸術の理想のあり方だと思っている私からすれば、

清舟の動きに次々と影響を受けていく様はまさしく、

彼がいつも言っている「字で人の心を動かす」を体現していたとも思います。

 

東京で挫折した清舟が島で一念発起…誰かに支えられている事を知る…

設定だけ見れば、やはり堂々巡りな感じではあるんですが。

ただ、前回とは違って、今回は島ならではの"人と人との繋がり"が

直に伝わってくる内容になっていたので、満足に見られましたね。

 

世間知らずだった清舟が独自の書道教室を開くというエピソード自体は、

ビジネスドラマとしても純粋に楽しめそうな気がしただけに、

いきなり半年後に飛んだのは驚きましたし、

正直、後半になってからお別れを仄めかす頻度が高くない?とも思わなくもありません。

でも、いろいろ言いつつ、最終回は寂しさで目頭が熱くなってしまいそう…。

余韻たっぷりのラストで終われる事を願います。

 

 

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