VRおじさんの初恋 32話(最終回) 感想|見て良かったなぁ…と思える作品でした。

 

 

タイトルのインパクトにつられて、なんとなく公式サイトをクリックして、

VRゲームが毎日の生き甲斐だった中年のおじさんがその世界で初恋!?という

風変わりな設定に惹かれて見始めた本作。

NHKドラマの事だから、初恋だけでは終わらないんだろうなとは思っていましたが、

穂波(坂東彌十郎)に会いに行くようになって、穂波の娘・飛鳥(田中麗奈)や

孫・葵(柊木陽太)が出てきてから、どんな展開へと転んでいくのか俄然興味が増して。

最終回まで見終えた時には、寂しさを漂わせながらも爽やかさや希望が感じられて

ほろりと泣けてしまう、素敵なドラマに仕上がっていました。

 

社会人になって、学校でも会社でもない第三の場所で新たな出会いを求めたり、

勇気を振り絞って自分らしさをさらけ出してみた結果

職場内でも徐々に仲間が増えて行ったり…

っていうドラマは、若い女性が主人公のパターンなら見た事はありますが、

中年の独身サラリーマンという設定は中々新鮮でした。

もちろん、前者の場合は、私が同年代だから自然と重ねてみてしまう良さはありますが…

中年男性となると、本人のプライドもあるし、仕事に追われるのに精一杯になって、

新しい友達を作る事は結構難しい気がするんです。

だからこそ、「人や人生に期待してない」「静かな世界でただ1人でいたい」と

思っていた直樹(野間口徹)が、穂波と出会って自分の殻をぶち破り、

輪を広げていく成長ぶりが奇跡というか。

当初と比べて頼もしさが増した姿に、感動する瞬間が何度もありました。

 

そして、本作は「現実世界」と「VRの世界」の2つの世界を交互に描き続けてきた訳ですが、

「リアルを大事にしよう」とか「ネットに依存するな」とか、

VRをどっぷりのめり込んでしまう事に警鐘を鳴らすアイテムとして処理しない所も

新しい視点だなぁと思いました。

31話で「私たちの心は、体に決められる。望む望まないにかかわらず。

性別、年齢、健康状態。そういうもので、心の輪郭は作られていく。

でも、VRの世界で現実と違う体に出会って、その体でしか出来ない約束をした。

体が変われば、心が触れ合う場所も変わる。あれは確かに、同じ私たちだ。」

という穂波のモノローグにもあった通り…

見た目と中身は全然違くても、どちらも"自分"である事には変わりない。

どちらの世界も肯定してくれているし、大切にしてくれている。

その描写が好きだったなぁ…と。

どんな世界でも繋がりを求めて、相手を大切にしたいという気持ちがあれば、

もう1つの世界でも還元されていくんですよね。

 

始まりもあれば、終わりもいつかはやってくる。

終わりを実感するとどうしても辛くなってしまうものだけれども、

2人で培ってきた思い出は心の中に残り続ける。前を向けるきっかけにもなる。

ここまでだったら、最後の締めくくりとしてよく描かれるのかもしれません。

けれども、ふと寂しさに襲われる時があったら、心の中からアルバムを引っ張り出して

"思い出の世界"に浸ったって良い…という、

復活して生まれ変わった「デイブレイク」でバックアップしたデータを見るナオキに

そっと優しく寄り添ってくれるオチも含めて、

ああ、ここまで見続けてきて良かった…と思える最終回でした。

 

野間口徹さんは、普段落ち着いた役の多い印象があるだけに、

本作での、ホナミに本音をぶつけて大声になるだとか、

佐々木(堀内敬子)への「もうっ!」とか、

感情をむき出しにする演技はとても楽しく見られました。

坂東彌十郎さんも以前の感想でもちょろっと触れましたが、今まで悪役でお見かけしていた分、

柔らかで穏やかで、時に繊細さを含ませた佇まいに引き込まれてしまってました。

倉沢杏菜さんと井桁弘恵さんは、今後ドラマの仕事が増えるでしょうねぇ。

朝ドラで重要な役で抜擢されそうですよね。

口調に仕草に表情に…しばしば中の人と一体化して見えましたもん。

 

C&Kの主題歌も、ぽつりぽつりと想いを吐露するかのような率直な歌詞が

ドラマの世界観とリンクしてました。

でもそれ以上に、個人的には「不思議なことばかり起こるよ」で始まる挿入歌の方が刺さりましてね…。

流れるたび「人生って案外悪くないかも」「こんな事もあるよね」と

支えてくれているようで、じんわり温かい気持ちになれたんですよねぇ。

 

録画被りの都合でNHKプラスで見ていて、毎週、視聴期間がギリギリだったので、

時間を探しては視聴する大変さは日々感じていたんですが、

それでも見た甲斐のある作品だったと思います。

スルーしないでくれてありがとう…当時の私(笑)

夜ドラは片手で数えられるくらいの本数しか見ていないものの、

最終的に登場人物も結末も雰囲気も愛おしく思える作品に、

以前感想を書いた事のある「作りたい女と食べたい女」の他に

「褒めるひと 褒められるひと」もあったんですけど

(↑一見ヘンテコな世界観ながらも、「褒める」「褒められたい」で

多様な価値観が描かれていて、こんな人もいるんだなぁと考えさせられる事があって、

それをほのぼの〜とした空気で包み込んでくれる作りが気に入っていたんです♪)、

また1つ、そう思える作品が増えました。

 

実は雑感集に組み込む予定だったんですけど、

感想を書き出してみたらあまりにも長くなっちゃってw

ああ、モヤモヤを吐き出す内容以外で、久しぶりにこんなに書いた気がするわ…。

 

↓時々、雑感も書いてました↓

 

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