「あたし、結婚して子供も産んで、お母さんになったよ。」
「心配しないで、みんなといるから。みんなと一緒にいるから、大丈夫だからね。」
これが、試練を乗り越え、仕事に真摯に取り組んできた朝顔(上野樹里)の答えであり、
作品を通して視聴者に伝えたかったメッセージでもあった最終回でした。
数々の事件は今思えば、朝顔が成長して行くためのきっかけにしか過ぎません。
けれども、その行為は決して無駄ではなく…
確かに"そこに"生きていたという真実。
不詳の死であったとしても、残された家族、これから生まれるであろう命にとっては
何か生きるためのヒントが見つかるかもしれない…というほんの少しの希望。
1つ1つの命と向き合う事で、頼りになる仕事仲間との関わりも通して、
朝顔はいくつもの大きな学びを得てきました。
きっと、何人もの遺体の解剖をしながらも、トラウマでどうしても向き合いきれなかった
母の死を重ねて、じっくりと向き合っていた事でしょう。
また、医者は「万能ではない」「弱さを抱えた一人の人間にしか過ぎない」という事実も
朝顔を通して描き続けてきた。
家族パートも毎話丁寧で、動作や食卓、何から何まで違和感なくリアリティに溢れていた。
だから、「家族が支えてくれていたから頑張れた」といった朝顔の答えも
スッと心に響く、納得の出来る結末だったと思います。
法医学ドラマでありながらも、刑事ドラマでもあり、人間ドラマでもあり…
様々なジャンルが絡み合って生まれたどことなく儚い世界観に
ホロっとさせられる作品でした。
朝顔が典型的な「スーパードクター」で周りをあっと言わせる
ドラマチックな作りを重視した訳でもなければ、上層部の陰謀要素もなく、
脇役サゲもなく、むしろ脇役も真摯に仕事に取り組んでいるのだと伝わる描写が
回数を重ねてしっかりされていた所も、本作を好んで見ていた理由の1つ。
また、役者陣が魅せる演技に惹き込まれた作品でもあり。
印象的なシーンがあり過ぎて書ききれない程ですが、
今回で言えば、家族が揃った事で初めて、抱え込んでいたものが
自分でも信じられない勢いで一気に溢れ出してしまうかのような
本音を口にする柄本明さんの演技には、涙なしでは見られませんでした…。
茶子先生(山口智子)の、どこかマイペースで、
だけど仕事の時には冷静沈着で頼もしい姿を見せる人柄も。
つぐみ(加藤柚凪)ちゃんのあどけなさも。
平(時任三郎)のお父さん&おじいちゃんっぷりも。
どの登場人物も大好きで、応援したくなる魅力がいっぱい詰まっていた
役者さんばかりでした。
最終回が良い感じに締められたので、特別編をやるのには
「ラジハ」の悪夢が蘇って複雑な気持ちではありますが…
こちらは全話興味深く見られた作品なのでね。
また総集編なのでしょうが、朝顔達にあともう一回会えるなんて
嬉しいなぁ…と、ポジティブに捉えたいです。
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