私たちはどうかしている 1話 感想|「どうかしている」に頼り過ぎ

 

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衝撃的なカットだけチラ見せする映像に煽るSE…

演出が水10版「あなたの番です」を目指している感満載なのですが、

世界観や設定は昼ドラとオトナの土ドラ枠を足して割ったような感じ。

嫁いびりに修羅場…所々ちょっと昔のドラマっぽいし、劇伴もどことなく大映臭がします。

ミステリーとドロドロの融合、このぎこちなさに慣れるかどうかで

今後視聴するにあたっての印象も変わってくるんでしょう。

 

さて、初回の内容に触れるとしますと…

私、正直言って、主人公の心情や場面を全部説明台詞で片付ける作りが好きじゃないんですね。

「この世界に色がついた瞬間だった」「それは15年前の事だった」とか、

わざわざ言葉にする必要あります?

もっと演出で見せてよ!視聴者の想像力に委ねてよ!って思います。

和菓子の説明も一つ一つ力を入れている割には、

物語の"掴み"となる大胆な展開はただ投げっぱなし。

説明する必要のない所は過剰に説明して、逆に説明する必要のある所は十分にしない。

丁寧なんだか雑なんだかよく分からん。

いや、ハプニングが起こる度に「どうかしている」という

台詞に頼るからやっぱり雑なのか。

1話だからと唐突な要素を盛り込む事で

視聴者を引き離したくないという意図があるのかもしれませんが、

次回以降はもう少し、七桜(浜辺美波)が椿(横浜流星)に近づく時の心の動きとか、

恋に揺れ動く気持ちとか、そういった心情描写がないと

ただ見た目を奇抜にしただけの浮ついた作品になってしまいそうな気がしました。

 

子供の顔に返り血がついているのに疑おうともしない、

彼の証言だけで七桜の母・百合子(中村ゆり)を逮捕する警察の調査力の甘さとか、

土砂降りの雨の中読んだ手紙が何故かピンとした綺麗な状態のままだったとか、

ツッコミたくなる所があるのは少女漫画由来だからでしょうか(笑)

 

まぁ…とりあえず期待度★2通りの内容ですね。

「あな番」スタッフが関わっているので、モヤっと最終回になる可能性は高いでしょうし。

あと2話くらい様子見して、衝撃の展開だけで引っ張る話が続くようであれば

リタイアすると思います。

 

 

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竜の道 二つの顔の復讐者 3話 感想|松本まりかvs尾上寛之という豪華な共演。

 

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次のクールに始まるドラマが9/22から放送との事なので、本作は長くても全8話。

1,2話合体の作りの初回、それを踏まえた上で今回の3話が4話だと考えると…

折り返し地点になるって所でしょうか。

 

今まで個人的には、復讐モノにしては地味でこぢんまりしていた印象があったのですが、

今回は脚本家が変わったのか「こんなコンセプトで行くのだ」というのが

すんなり掴めた仕上がりになっていた気がします。

じわじわと攻めより、点と点が繋がり始めるワクワク感もあるけれど、

その代わりじわじわと綻びも出始めていてソワッともさせられる。

この二面性を楽しませるのに重要なのはやはりキャラクターと演者の相性で、

本作はキャスティングが上手いですよねぇ。

ヘヘッと笑いつつさり気なく人を殺してそうな雰囲気が似合う遠藤憲一さん。

特にサイコパス枠(?)の松本まりかさんと尾上寛之さんの共演なんて贅沢過ぎる。

全体的に"安定"な役を演じる役者さんが多めなんですけど、

その"安定"さがあるだけに物語の世界観を壊さない安心感もあるし、

むしろ役者さん自身がどんどんそれを作り込んで行っている感じさえします。

 

劇伴自体も、流すタイミングも良かったなぁ。

前半は劇伴がほぼなしで静かに物語が展開されて行ったために、

終盤で陰湿な行為をする三栗谷(尾上寛之)を騙した時の痛快感は堪らなかった。

その時にかかった劇伴が静かに盛り上げてはいるものの、

あくまでも主人公を目立たせるための添え物的な曲調になっていたのが

よく出来ているなぁと思わされました。

 

霧島(遠藤憲一)と対面した竜二(高橋一生)の、

彼が自分の事を全く覚えていないと分かった時の

言葉では表しきれないほどの怨念や感情を抱えたような背中を映すシーンも印象的。

 

本筋の他にも、漂う三角関係だったり、子供向けSNSの件だったり、

ジャーナリストとの絡みだったり、色々と今後描かれていく要素が増えてきたので

話が散漫しないか少し不安ですが、とりあえず、役者とキャラクターのハマり具合を

楽しむ作品として見続けるつもりです。

 

 

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JOKE〜2022パニック配信! 感想|この世で一番怖いものは過信

 

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良い意味で、フジテレビの深夜枠で作られてそうなドラマでした。

しかし、最後の怒涛の回収の仕方はクドカンらしいと言いますか。

練馬の刃の声がやけにAIっぽい機械めいた感じだったのも、

坂根(柄本時生)に似た声で電話をかけてきたのも

全部マイルスの仕業だったって事で…良いんですよね?

ノンストップで次々と話が繰り広げられていくから

理解が追いついていない所がいっぱいあるだろうなぁ(笑)

真相が分かった状態で、空いている時にまた見返したいです!

 

ずっと声だけで実際の顔がずっと見えないシーンが続いたので

これはAIスピーカーが原因だろうというのは途中から察しましたし、

AIを通して何を描きたいのかも予想出来るものではありましたが、

コメディかと思ったらホラーだったり、ホラーかと思ったらコメディだったり…と

境界線があやふやで、それに終始翻弄され続ける楽しさは感じられました。

 

この世で一番怖いものは「過信」。

インターホンを押されても誰が来たか確認しない。ガスも照明も自力でつけない。

何もかも機械だよりの主人公。

「AIがあれば大丈夫」と思い込んでいたから、自分の危機管理を全くして来なかった。

そんな人の最期はどうなってしまうかお分かりでしょう…

だから、アナログもデジタルもバランス良くとりながら生活して行こうね…というのを

皮肉めいた作風に仕上がっていたと思います。

 

しかしまぁ、これの何が一番凄いって、

脚本家の宮藤官九郎さんがコロナ禍を受けて執筆されたものではなく、

去年くらいから既に考えて温めていたものだったっという所。

AIと人間の話なんだけど、「コロナ」というフィルターで見ると、

自然とウーバーイーツや宅配ばかり頼んで

誰かと話す機会を失っている人の末路の話にも見えてきてしまう不思議。

 

やっぱり本当に凄い方は、無意識にでも先見の明が備わっているんでしょうねぇ。

人気脚本家さんの恐ろしさをまた思い知らされた作品でもありました。