「同じだろ?君だって。気持ち良いだろ?力を使って誰かを助けるの。」
「誰かのために善をなす。でもそのためには、もっと力が必要になる。
いくつかの善を重ねるうちに、いつしか悪になる。」
「君も、すっかり囚われているんじゃないのかな?」
長い間、誰よりも権力を利用してきた者だからこその説得力ってやつですよね…。
享(草彅剛)の現在のありさまを的確に言語化し、彼に図星を突かせるこのシーンは、
鶴巻(岸部一徳)にとっては、享の企みがかすり傷程度にしかならないのを
表しているようでゾクゾクさせられました。
しかし、それと同時に、今までで不足している部分を、
この簡潔な台詞で全て補おうとしている感じも否めなかったかな?という気もしています。
前回の感想にも書いた通り、闇堕ちするまでの過程を全く描いていないとも言い切れないので、
いろいろ思い返して、そこに繋がる要素を探しては好意的に解釈はしていたのですが…
今回の別人っぷりを見ると、やっぱり変化が早かったな…とは思えてしまうんですね。
というのも、享が議員として仕事をしていて、
真正面から悩みに向き合うが故に壁にぶち当たったり、
その苦しみを乗り越えてやり甲斐を感じたりする描写はほとんどなかったんです。
だから、「上へ上へ」の思考になるのが唐突過ぎると言いますか。
それに、元はと言えば、息子を突き落とした犯人を明らかにするために
政界入りを決意して議員になっているので、当然「どうやって復讐するか」を考えてばかり。
本来の職務である議員活動を疎かにしてきた新人が
たった半年で副大臣のポストを要求してくるのも、ちょっと疑問でした。
元々は"復讐劇"がベースの物語だったのが、
途中から政界でのパワーゲームを盛り込んだ事が、
ここ最近の展開のグラつきを生んだ原因でしょうね。
せめて、鶴巻の言っていた言葉を映像化してじっくり見せて行っていれば、
享の急な変わりようも腑に落ちたのかもしれません。
そんな感じで、引っかかる所は多々見受けられたものの、
ここまで見てきた以上は、結末がどうなるかは気になりますねぇ。
享が落ちぶれたとなると…ハッピーエンドというよりかは
"原点回帰"エンドを望みたいです。
享が失脚してから数年が経ち、今度は可南子(井川遥)が議員になって、
同じく議員として返り咲いた鴨井(片平なぎさ)と一緒に女性のための活動を…
そして享は秘書として2人を静かに支えていく…とか?
こんな結末もアリなんじゃないかと思っております。
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