下剋上球児 10話(最終回) 感想|最後まで余計な要素が多かったな…と(汗)

 

 

向上心もない、人数も足りていない弱小野球部が

強豪校に勝って大会に優勝する…という"設定"だけで今回の展開を見れば、

へぇ凄いなぁ…とは思います。

でも、"連続ドラマ"として見れば、部員たちの躍進に心動かされたとか、

過去と照らし合わせて感慨深くなるとか、そんな感情は個人的にはあんまり湧かなくて。

(↑補足しますが、役者さんの演技が悪かった訳ではありません!)

むしろ、王道の題材を取り扱っていて、盛り上がり最高潮であろう最終回で

この感想が出てきてしまう事自体悲しくて。

CM入りのぶつ切り感、(これは好みの問題ですが)挿入する事で

ワンテンポずれた印象を覚えてしまうアニメーション、そして謎の時間軸いじりも含めて、

なんでこんな仕上がりになっちゃったんだろう…という残念さともどかしさで

最後までいっぱいになってしまった作品でした。

 

下剋上」は本来、「地位が下の者が上の者に代わって実権を奪う事」を

意味する言葉ではあるんですが、決して"勝つ"のが全てではないと思うんですよね。

なぜそこまで強くなれたのか?どんな鍛錬を重ねてきたのか?

そういった過程を描く事で、初めてその言葉に重みと説得力が増して

ドラマチックな物語に映るはずなんです。

しかし本作の場合は、南雲(鈴木亮平)の無免許問題や

妻・美香(井川遥)と元旦那の訳あり事情など、

野球から脱線したエピソードをあれこれ追加して作品に充実感を持たせたあまりに

話数全体のバランスが悪くなり、

結果、後半でも日めくりカレンダーのごとくサクサク進んだ回もあったように

過程描写を疎かにしてしまった。

しつこい!それしか書けないのか!って言われるくらい書いてますが…

これが、本作において致命傷だったとしか言いようがないんですね。

だって、本当にそうだから(汗)

 

最終回のみに絞ってみても、

別にこれは入れなくても良かったのでは?っていう要素が多かったです。

例えば…前回の感想でも書いた通り、資金調達の件に関しては、

甲子園目指せるほど強くなるとは想定していなかった高校なら

あるある案件だとは捉えられるんですけど、

いざ問題が勃発して、数分で解決出来るんだったら、

じゃあ試合中に盛り込まない方が変に不安を覚えずに集中して見られたし、

あってもなくても関係なかったじゃん?って話になりますし。

前回のTシャツ取り違えも、野球ファンでもなかった人たちが応援に来てくれた

感動ムーブに繋げようとしたんでしょうけど、落とし所としては正直中途半端。

山住(黒木華)はもはや、ベンチで応援出来るくらいには動けてますし(苦笑)

前回脳震とうで緊急搬送された久我原(橘優輝)が試合に出て故意にこけるのなんかは、

症状が悪化するんじゃないかとヒヤヒヤしながら見ておりました。

 

犬塚(小日向文世)の目の病気の件にしてもね。

その設定はナシにして、普通にいつもの感じで

自作のビッグうちわや応援ボードを持って応援させた方が、

良くも悪くも親バカなキャラクターだからこそ、

盛り上がりを演出出来たのではないでしょうか。

…今まで書いてこなかったんですけど、

私、犬塚祖父×孫の関係性って結構好きだったんですよ。

どんだけうるさかろうが、翔(中沢元紀)しか見ていなかろうが、

時折、彼の才能を信頼していて、誇らしく思っているような優しさが垣間見える時があって。

ポジティブ&全肯定なおじいちゃんの存在が、今は鬱陶しくても、

いつしか心の支えになったりするのかも…って勝手に想像してはほっこりさせられて。

そんな犬塚の熱狂ぶりを決勝で活かさないのも勿体なかったですね。

 

ここからは素人の意見として軽く読んでいただきたいのですが…

令和に入ってから、視聴者を取り逃がさない・飽きさせないようにするためなのか、

主人公の秘密で考察させたりだとか、脇役でエピソードを膨らませたりだとか、

サスペンス要素を加えてギャップを持たせるだとか、

そういった"主軸以外"にも力を入れる作品が増えてきたのかなぁと。

一方で「日曜劇場」は、今までは勧善懲悪モノやサクセスストーリーといった

シンプルな設定を取り入れた作品が多くヒットして、

多くの視聴者に支持されるTBSの看板枠となっていた。だけれども…

前期で、毎度衝撃の展開を持ってきて、最後まで結末が読めない作りである

「VIVANT」が放送されていたように、

「日曜劇場」枠もマンネリ化を脱却したい、次のフェーズへと進みたい気持ちは

ここ最近で高まっていた。

で…どちらかと言うと金10のイメージが強く、

サスペンスやミステリー作品を手掛けられてきたスタッフを

今回の作品に起用したんだろうと思っています。

 

脚本家が奥寺佐渡子さんで、メイン監督が塚原あゆ子さんで、

プロデューサーが新井順子さんの組み合わせと言えば

「リバース」「Nのために」そして「最愛」。

だから、サスペンスの方がお得意なのも分かりますし、

サスペンス要素が加わるのも納得はいくんです。

でも、今回はやっぱり…題材が題材だからこそ、ストレートに魅せていただきたかったです。

他の作品ならそこまで支障はなさそうなんですが、

成長過程で視聴者を胸熱にさせるのが強みのスポーツモノとの

食い合わせは悪かったように思います。

 

鈴木亮平さんが主演だから、それなりに誠実な主人公には見えましたけど。

無免許の件が後半に影響をもたらさないんだったら、

以前も書いたように、かつての相棒を精神的に死に追いやってしまったのを機に

野球を諦めざるを得なくなったが…という設定の方が、

監督を再びやりたいという気持ちにも、より感情移入出来たんじゃないでしょうか。

加えて、家庭の事情も部員たちに焦点を当てていれば、

目の前の問題に向き合い乗り越えていく様子が描きやすくなったのかも。

 

主題歌自体も、物語の引き立て役にふさわしいタイミングでかかっていたし、

役者さんも野球経験者を結構揃えていただけに。

何だか、素材の良さを持て余したような…そんな記憶が残りそうです。

 

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