6秒間の軌跡〜花火師・望月星太郎の憂鬱 2話 感想|"モノ"より"コト"の方が記憶に残る…は真理

 

 

いろんなドラマを見ていると、

「あの役は良かったけど、この役は何だか固いかな…」とか、

「この役者さんとこの役者さんで役を逆にした方が、しっくり来たんじゃないか?」とか

思う事もたまにある分。

魅力的に映る役っていうのはやっぱり、

役者さんと脚本家・演出家の相性の良さが大きいんだろうな…と

改めて気づかされる回でした。

 

否定的な声もあるようですが、私は本作での本田翼さんは好きなんですよね。

演じられている「水森ひかり」という人物の展開次第で、

本田翼さんもここまで良さが引き出されるのかと思いました。

例えば…前回では、多くを語らないキャラとして徹底して描く事で、

「掴み所のない女性」という第一印象を与えていましたが。

今回では、もしかしたら、星太郎(高橋一生)との2人での会話が増えたから

必然的に…な部分もあるんでしょうが、

ひかり自身の喜怒哀楽の"感情"や"本音"を含んだ台詞運びになっていたために、

前回とはガラッと印象を変え、彼女がミステリアスな存在である事を

より際立たせていた気がしました。

で…最後に、母親疑惑もほんのり匂わせて、次回へと繋げる。

どんな人で、どんな結末へと向かっていくのか…先が見たくなるような仕掛けも

さり気なく作り込んでいるのも上手いです。

 

航(橋爪功)の出番に関しても…

前回は星太郎と航との会話劇がメインだったので、

多少の差は感じるのも無理はありません。

ですが、前回で感じた、シュールかつ少し温かみのある作風は

引き続き踏襲されていたのかな?と思います。

航を"ちょっかい役"的な立場に回したのが効いていて、

それがまた、出るタイミングが絶妙で(笑)

謎めいたひかりの掘り下げで異質な雰囲気を覚えてしまいそうなものを、

彼の存在感が内容に緩急を生んで、和らげていっていたのも良かったです。

 

「結局、記憶に残るのは、誰とどんな気持ちで見たとか、そういう事なんじゃないんですか?」

ひかりのこの言葉には、とても真理を突かれた感覚がありましたね…。

もちろん、"モノ"自体がよほど強烈だったのであれば、

全然覚えてないって事もないと思うんですが、

何かを思い出せば、その時、こんな大変な事があったっけかなぁ…とか、

あんな感情で見ていたかなぁ…とか、

そういった"出来事"の方が自然と浮かんで、それきっかけで話も広がるもんなんですよね。

 

ひかりが「記憶に残った出来事」として、

花火を見ながら鼻で笑うまでに至る過程を話していたのを受けて、

星太郎が初心に戻ってみよう…と決心する流れもスムーズでした。

前回の時点では、航の「すまん…」の理由を見つけるまでの、

感動を誘う物語になるのかと思って見ていた節もありましたが。

花火を通しての2人の心境・変化を描いてきた辺り、

ひょっとしたら、人間再生物語になっていくのかもしれませんね。

 

「僕らは奇跡でできている」や「モコミ」を描いてきた

橋部敦子さんならではの作品だなぁ…と、しみじみ思います。

 

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リバーサルオーケストラ 3話 感想|3話目にして好感度爆上がり

 

 

まだ3話で、演奏シーンも"成長物語"としては序章の段階なのに、

まさかもう胸が熱くなるとは思いもしませんでしたなぁ…。

 

回を重ねるごとに、それぞれのキャラが本当に立ってきているんですよね。

「登場人物が好き」よりかは

「役者さんが演じている登場人物が好き」といった方が近いんでしょうか。

例えば、大好きな音楽を諦めさせないでくれた人を、

今度は自分が…と同じ分だけ"恩返し"しようと行動に移す蒼は、初音(門脇麦)と歳が近く、

真っ直ぐさが滲み出る坂東龍汰さんでなければ成立しないし。

そんな彼を引き止め、発する言葉からは人生経験の豊富さが伺える穂苅は

平田満さんでなければ成立しないし。

マイペースなようで、ふとした時に頼もしさを見せてくれる

気の利いた面も持ち合わせている藤谷は、渋川清彦さんでなければ成立しない。

脚本家の清水友佳子さんの1人1人の個性のつけ方が上手いのはもちろんですが、

その役のイメージにぴったりハマる・馴染みやすい役者さんをキャスティングする事で

相乗効果が生まれて、より魅力的な人物に魅せているんだと思います。

 

人物描写に既に安定感があるから、時折挟まれるコミカルな言葉選びややり取りも

"その人らしさ"を加速させて、ますます面白く感じられますし。

それに加えて…今更ながら、児玉交響楽団の団員とSNS担当となった奏音(恒松祐里)全体の

年代のバランスが、若手・中堅どころ・人生の大先輩で

ちょうど良くまとまっているのも効いています。

年代が違うからこそいろんな考えが生まれる訳で、

若者が自分とは歳の離れた相手の言葉に刺激を受けたり、逆に若者に刺激をもらったりで、

それぞれ影響を与え合いながら"みんなで"オケの立て直しを図っていく様は

見ていてとっても楽しいのです。

 

そして、他に良かったのと言えば…初音の"克服"の描写も挙げられますね。

彼女を取り巻く人物は皆、音楽と、音楽を一緒に作る仲間を愛してやまない

優しい人々なんですが、ただ優しいのではなく、

その根底には、初音も通ってきた挫折や苦悩が含まれています。

この、過去を乗り越えようとしているのは初音だけじゃない…

という描かれ方も、本作の好きな所です。

彼女と同じくブランクの大きい藤谷を始め、

自身のトレーニングにも時間を費やせるようになった蒼や、

姉の様子を一番間近で見届けてきた奏音、1ヶ月間で玉響の成長を実感しつつある朝陽や、

練習に精を見出している団員たちなど、

「再び音楽をやり始めた初音」と関わってからの"経過"の描写を積み重ねた事が、

結果的に視聴者に、まだみんなとは同じステージに立てていない彼女を

自然と応援したい気持ちにさせた…。

こんな感じで、初音の心情変化に無理がなく、

最後の感動シーンに向けてきちんとプロセスを踏む構成になっていたのは、

よく出来ているとしか言いようがありませんでした。

 

「威風堂々」のあの盛り上がる部分に関しては、

本番まであえて引っ張り続ける演出をとっていたのも良かったです。

特に、本番の1個前の練習シーンで、大サビ前のフレーズを何度も弾かせたのなんかは

盛り上げ方が分かっていてズルいなぁ…なんて(笑)

実際、作り手の思惑通り、大サビが聞けた時には本当にグッと来ましたし、

張りのある音だったのもあって、それぞれの"自信"が演奏に現れているようで、

ここでも目頭が熱くなりました。

また、個人的に「いつか触れる時が来るのかな?」と気になっていたコンマスについても、

説明じみた表現ではなく、日常生活でぽろっと生まれたような表現に落とし込まれていたのは

凄いなぁ…とも思わされました。

 

今まで動向がよく掴めなかった三島(永山絢斗)も、

どうやら次回から本格的に物語に絡んでくるようで。

でも…同じく(?)敵側の立場でも、本宮(津田健次郎)の場合は

演奏会で使用する楽器を壊すとか、団員の1人を出られなくするいった陰湿さからは程遠い、

食べ物で釣るという、人間臭くて中々憎めない嫌がらせをしてきたので(笑)

三島の件もきっと大丈夫かなぁ…と信じております。

 

 

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大奥(2023) 3話 感想|理不尽は次の理不尽を生む…

 

 

家光(堀田真由)の過去が明かされるとともに、

理不尽は次の理不尽を生む…という事が嫌というほど(褒めてます)描かれた回でした。

 

酷な展開が続いた前回で、これから癒し要素になりそうな気がしていた猫が

開始から20分程度で殺される運命に遭ったり…

訳も分からず男の格好をさせられ、上様だと言い聞かされる当時の家光だったり…

相変わらずゲスな考えをしている三人衆を罠に嵌める玉栄(奥智哉)だったり…

春日局斉藤由貴)が真顔で「では仕方ない、切りましょう」と提案してきたり…と

各々の動きを描く事で、一見かなりボリューミーな内容にはなっていましたが。

原作に沿っているのかは分からないものの、

昔から物語の核を掴むのに長けているイメージのある森下脚本の本領発揮といった所か、

幼少期から怨念や憎悪を抱えて生きてきた家光は

やはり今でも権力や運命には抗えない…という"前提"の作り方が上手く。

そのお陰で、有功(福士蒼汰)に縋るのにも説得力のある、

ちゃんと有功と家光の2人に感情移入出来る話に仕上がっていて、

今回も見応えを感じさせました。

 

また、前回は福士蒼汰の演技に惹かれましたが、

今回は何と言っても、堀田真由さんの内に秘めた繊細さが

覗き見える演技が印象に残りましたね。

特に、男性陣に女装をさせているシーンでの、強がれば強がるほど目に涙が溜まっていく姿には

こちらも少し目頭が熱くなりました…(ここも感情移入出来る理由の1つだったのかなと)

堀田さんについては、前回の感想で「将軍姿でも隠しきれない女性らしさがミソ」と

書きましたが、ちょっとだけ訂正。

今までの役柄から、どちらかと言うとほわっとしたお嬢様感ある役が

馴染む方だと思っていたので、それとは真逆の役もナチュラルに演じられているのは

何だか意外性も感じさせたのです。

吉宗役の冨永愛さんもそうですが、本作って、

役者さんの魅力を再発見して、新たな一面が見られる所も

見所の1つだなぁと思ったりもしております。

 

春日局に落とされ、少し良い方向に向かい始めそうになった段階で

また彼女に落とされて終わり…って事で、やはり次回も容赦ない展開が続きそうですね。

内容の面白さはもちろん、

大奥の由来ってここから来ているのかも?という"気づき"もあって、そこも楽しめた回でした。

 

 

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