アンサング・シンデレラ 2話 感想|伝えたい事は分かるんだけど…

 

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患者のその後を描くエンディングのラストに

「葵」の押印がされた処方箋袋が映し出される演出を見ていると、

本作が視聴者に届けたいメッセージが何かは分かるんですよね。

ああ、ささやかながらも患者と"繋がり""心の拠り所"を築いていくのが

薬剤師のお仕事なんだなぁ…と。

エンディングやアバンの演出は折角よく作られているのに、

ぶつ切り過ぎるエピソードの構成に、出しゃばりな主人公、

薬剤師の度を超えているお仕事パートと色んな意味で違和感を覚える要素が多いので、

結果、全体的にギクシャクしているような作りになってしまうのに

歯痒さを感じてならないのです…。

 

大宮(小林隆)と娘の話、麻取が抜き打ちチェックしに来る話、

薬を飲ませるのに苦労する親子の話の3本を同時進行させる事で

「薬剤師って処方しているだけに見えて、こんなに多くの患者(人)と関わりがあるんだよ」

というのを示したかったのかもしれませんが、

麻取の話は無くて良かったんじゃないでしょうか。

残りの2本は好意的に考えて「薬の味見」で共通点を持たせてはいますが、

麻取だけはただ構成にメリハリを効かせるために

スケールを大き目にしてその役割を持たせた…としか思えません。

 

確かに、薬の認可を持続させるには彼らの調査が必要で、

病院に押し寄せる事があるというのは初耳でしたし、こういったある種のエンタメ的な話を

挿入するのも全然構いません。

あくまでも「ドラマ」であって、全部が全部をリアルに寄せる必要はないから。

しかし、普通だったら速攻クビになるであろう麻薬注射器の管理不十分の案件が

荒神(でんでん)のマジックで許されるというのは、正直言って"あり得ない"です。

漫画の世界でしか通用しない、いかにも漫画っぽく誇張されたキャラクターによって

丸っと解決させる話を挿入するくらいだったら、

3番目の薬を飲ませるのに苦労する親子のような話をじっくり見たいですし、

薬剤師がテーマのドラマって、良い意味で地味で、かつほんわかする内容で

十分成り立つんじゃないかという気持ちにさせられました。

 

処方箋も、特に子供向けのものだったら事前に「ジュースで服用しないで下さい」と

医師から口頭で伝えられるか、あるいは袋に注意書きとして記載されているはずです。

ジュースと混ぜると薬が苦くなるという特性を医師が知らないから、

代わりに薬剤師がわざわざ親子に出向いて説明する。

1人1人の子供達にこうやって教えに行かなきゃならないの?

刈谷桜井ユキ)も、最初に相談された時点でチョコアイスと一緒に飲ませる事を

オススメしていれば、みどり(石原さとみ)が余計な仕事をせずに済んだんじゃないの?

母親にしてもネットで薬について調べると言っていた割には

おくすり●めたねなどの服用補助食料の存在を知らないのは不自然だし…

薬剤師の度を超えている言動が目立つからか、あらゆる要素に粗っぽさを感じさせます。

 

登場人物に関しても、仕事が忙しくて"緊張感ある"というより

"ギスギスしている"の方が強く出ているようで、ちょっとキツイ…。

何というか、薬剤師も患者家族もネガティブな人が多い。

「そこまで言う?」って人が多いんですよねぇ。

常に怒っているような先輩とか、いつもサバっとして冷たくあしらう先輩とか、

何かあったらすぐ怒鳴り散らす上司とか、

微妙にこじらせてそうな謎にテンション高い同僚とか、

気持ち悪い!とストレートな言葉を投げかける娘とか…

もうちょっと和らげられないものかなぁと思います。

くるみ(西野七瀬)が緩衝材となってバランスを効かせてるつもりなんでしょうが、

「空気読めない新人」という設定だけでもテンポを崩すのに、

椅子を用意するシーンでの間抜けなSEやら関西弁設定やらのお陰で

更に加速させていっている気もします。

これは演技のせいではなく、キャラクターの膨らませ方そのものの問題ですが…。

 

人物の描写でこちら側もギスギスしてしまう所が多々あるので、

今後もそれが続くのであれば完走出来ない可能性も出てくるでしょう。

しかし、現状としては、「こうしたらもっと面白くなるのに!」と感じる部分が

何となく分かるから、元々期待度高めだったのもあって

徐々に良くなって行くと良いなぁ…という僅かな期待を込めて見ている感じです。

 

 

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