昭和元禄落語心中 10話(最終回) 感想と総括(長めです)

 

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想いを託す者。それを受け継ぐ者。

そしてまた、次の世代へ託すという輪廻の世界で人々は生きている。

日常生活だったら、親から子へ、子から孫へ「遺伝」として形になって残り続けるし、

落語業界だったら、弟子が師匠の名前を「襲名」して、その名はいつまでも残り続ける。

人と人との繋がりや人情がある以上、こういった「次から次へ」という

優しく温かい世界は絶対に途絶える事はないんだと思います。

 

本作は、それが丁寧に描かれた作品でした。

若かりし頃の八雲(岡田将生)と助六(山崎育三郎)の

残された映像を見る小夏(成海璃子)。

前回の「たちきり」からの、今回、本物の「死神」が迎えに来るシーン。

当時の助六の落語を幼い小夏が喜んで聞くように、

与太郎竜星涼)が、ワクワクしている様子の息子・信之助に落語を聞かせるシーン。

また、八雲がかつて語った「寿限無」を小夏が信之助の前で語るシーン。

子供の頃に八雲に散髪してもらったお礼に、数十年後に髪を梳かしてあげる小夏。

 

今までの回想も含めて、全ての事が走馬灯のように思い出されてきて、

視聴しながら思わず声を上げるほど泣いてしまいました。

 

真相を告げる事の出来た八雲は、すっかり穏やかな微笑ましい表情になっていました。

小夏と一緒に聞く、ラジオ越しの与太郎の「野ざらし」。

そんな二人の所に遊びに来た、孫の信之助。

ほんのりと上品に色付いた桜の木の近くで、温かい光に包まれながら、

助六とみよ吉(大政絢)のいる向こうの世界へ旅立ってしまいました…。

でも、八雲の生涯を思うと、最期に幸せな

宝物のような時間を過ごせたんじゃないかと思います。

 

そして、16年後。

9代目八雲の名を継ぐと宣言した与太郎が披露した落語は「死神」。

視線の先には、若い頃の八雲と助六とみよ吉がいました。

大切な人が見守ってくれていると知った与太郎は、いよいよ語り始めます…

 

「いっその事、死んじまおうかな。」

「そりゃあ良い。死のう。」

「死のうったってな、俺は初めて死ぬんだから、死に方が分からねぇ。」

 

「おせぇてやろうか…。」

「何でぇおめぇは!」

 

「「死神だよ。」」

 

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八雲と声が重なった途端、毎回締めとして使用されるカットへ自然と繋げて、

本作は幕引きとなりました…。

 

このラストシーンの時、

「ああ、最高に素晴らしい作品を見た」

と、心の底から痛感しましたね。

 

いつまでも、記憶に残り続けるでしょう。

それぞれの登場人物に想いを馳せながら…

 

 

総括

 

NHKの本気を見た!という感じです。

十人十色の落語の掛け合い。人物の丁寧な描写。景色・美術の美しさ。

回想の重ね方。伏線の繋げ方。役者の演技。

どれを取っても素晴らしいものでした。

正直合わないと考えてた主題歌も、少し愛着が湧いてくるくらいでした。

 

特に、岡田将生さんは、私の中でかなりイメージが変わりましたね。

好青年の印象がこびりついていたから、老人の役はどうなんだろう…と思ってましたし、

そのため、初回ではその姿に慣れる事も出来なかったのです。が…

2話から順々に、幼少期からの時間を描いていったのが大きいのでしょう。

壮絶な人生を送った八雲に、思わず感情移入させられるような脚本が上手かったですし、

メイクに負けじと、死に際までを岡田さんが見事に演じ切って下さいました。

 

山崎育三郎さんも、竜星涼さんも、複雑なものを抱えた落語家になりきられるのは

相当大変だったと思います。

「最高の作品」は、脚本や演出だけでなく、役者陣の演技を含めた三位一体で

作られていきます。

本当に素敵な時間をありがとうございました。お疲れ様でした。

 

また一段と、「NHKの作品が好きだ」と感じられる作品に出会えて良かったです。

映画のようなドラマでした。

 

 

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