死役所 7話 感想|イシ間の殺意。しかしそこに、愛はある。

 

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イシ間(でんでん)がなぜ死刑囚となってしまったのか?のお話。

 

前半部分では、何年も暮らす姪・ミチ(田鍋梨々花)との食卓を楽しむ姿や、

初めて出会った時の頃を懐かしそうに話す姿、

そして、養子縁組の話を持ち出された時に考え過ぎて泣いてしまう姿など、

「ミチを我が子のように想うイシ間」が、回想と現在を通して描かれました。

 

少年二人を鍬で殺害してしまった事が原因による死刑判決。

その"行為"だけ見れば、画面上に血が流れる映像は確かにショックですし、

あれだけ人情味ありそうなおじさんが憎き感情しか持たない復讐鬼へと

一気に変わり果てる様子には、近づきたくないという恐怖さえ覚えてしまいます。

しかし、同時に、前半での彼の心理描写を重ねて行ったお陰で

「ミチを守りたい」という強い愛情も感じられる名シーンでもありました。

でんでんさんの、周りが全く見えていないような目で訴えかける演技が、

短い時間の中で更にそれをしっかり残せていたんじゃないでしょうか。

 

当たり前ですが、殺人は絶対にやってはいけません。

人が立ち直れなくなるほど傷つけた者、命を奪った者には

それ相応の罪を一生償うべきです。

ですが、「性犯罪」よりも愚かで残忍な行為は、この世に存在しないとも思います。

 

イシ間だって、情状酌量で流れを警察に伝えていれば

罪は少しでも軽くなりました。しかし、彼はそれをしなかった。

 

シ村(松岡昌宏)、ハヤシ(清原翔)の過去も含めて、

死役所の面々は皆、元は優しくても一歩道を踏み外してしまったばかりに…という

切ない背景を抱える人達だらけなのですが。

今まで「現世の人とは二度と会えない」を貫いてきた作りなだけに、

最後のミチとの再会シーンは全く予想だにしておらず、感極まって泣けてしまいました。

 

きっと現世では、死刑囚の娘というレッテルを貼られ続けて

生きてきた時があったのだと思いますが、その人生を全く感じさせない、

幸いにも(と言うと語弊がありそうですが)当時の幸せな記憶だけが残ったままの

彼女と再会出来た事が、イシ間にとっては何よりの救いだったでしょう…。

 

イシ間が成仏出来るようになったのは、事件を覚えていなかったミチがやってきた事で

もう"ケジメ"を付けて良いんだよ…と、背中を押してくれたからなのかも。

 

見送る時の笑顔にもやられました。

敢えて事実を話さないシ村の優しさも良かったです。

 

余談ですが、今回のミチの人生を想像させられた事でも、

老衰死課に訪れる人のエピソードも見てみたいとも思ってしまいました。

原作にはあるのかなぁ?

 

 

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