山崎豊子 白い巨塔 総括|結論。リメイク作品はもっと冒険すべき!

 

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最初にちょっとだけツッコミを。

ラストシーン…なんで時代劇風の劇伴をチョイスしたのだろう…。

財前(岡田准一)の遺言書を里見(松山ケンイチ)が読んでる

せっかく良いシーンなのにさ…音量は大きいし、

必殺仕事人の劇伴でも使われてるような楽器の音と似てる気がしてしょうがなかったのよ。

途中、ジャズみたいな劇伴もあったし。

 

第三夜、四夜はごちゃごちゃしたのが減って、ズンチャカチャン♪ズンチャカチャン♪な劇伴

(分かるかしら…)を入れるタイミングが効果的だったように思うのです。

その点では、最終夜は何だか余計な挿入が多かったですかね。一部エピソードも含めてね。

「僕キセ」の時の劇伴は大好きだったのになぁ…どうしてこうなった。

 

まぁ、序盤からこんな事を書いてしまった訳ですが、

第三夜からは徐々に面白く見られました。

やっぱり、相手が曲者で、どっちが勝利を獲得するのかという話は、

見てる側もワクワク感が伝わって良いものですね。

だからこそ、そのワクワク感を初回から生み出せていれば…と、

最後まで見て結局、話の構成が勿体無かったんだとも思わざるを得ませんでした。

第一夜&第二夜がただの添え物にしか感じられなかったから。

 

2話分を使って、やれ教授はどっちになるんだ〜だの、

やれ立候補者を裏でゴリ押ししようだの、やれ選挙結果はどうなっただのの

教授選の話をぐだぐだ描いていくより。

財前がいかに腕があって、いかにプライドの高い人間なのかを、

手術での様子や医療従事者との関わりを通して

初回でガッツリ人物像を提示してから、2話分の話を第二夜で凝縮すべきだったと

個人的には思います。

いくら周りが「腕のある医師だった」「天才だった」と言っていても、

医師としての財前の描写が不足していては、説得力もありません…。

財前の野心の強さに「この先生、嫌だな…」と不快に感じているのを匂わせる

部下の存在を、本編中に早めに付け足しても良かったかも?

 

それと、これは白い巨塔だけでなく、最近多い「平成最後の」「令和版の」と付けて

リメイクされる作品全体にも言える事ですが。

なんでしょうね…設定や構成をもっと冒険してみても良いんじゃない?

SNSのTLを見てると多いんですよ。

「〇〇版は名作だった」「やっぱりあの作品は超えるのは無理」

「話知ってるから、しっかり見なくても良いや…」って呟きが。

 

特に10〜20年も経たない作品ならば、記憶にこびり付いてる人も多い訳で、

そんな名の知れた名作を新キャスト新スタッフで改めて作り直すのって

相当なプレッシャーだと思うのです。

でも、だからって、リメイクはするなとは言いません。

からしたら知らない作品は沢山あって、

その上で、元ネタがどこから来たのかという知識を得られたり、

名作=リメイクする価値がある程の作品に触れたりするのは嬉しい事だから。

 

原作にリスペクトを贈るのは勿論大前提ですが、それもしないで

原作の設定や名作と謳われた作品をなぞってしまっては、

壁も早々越えられないんじゃないでしょうか。

同じ主人公、同じ流れ、同じクライマックスのシーン…

これでは、過去と比較されても仕方ないのです。

本作に関しては、例えば、主人公を財前じゃなくて里見にして

里見目線でのドラマにするとか、時代に沿ったエピソードを追加するとか、

色々な挑戦は出来たかもしれません。

 

ともあれ、「白い巨塔」は最近のリメイク作品の中では上位に入る面白い作品でした。

岡田さん演じる財前も、回を重ねるごとに板について来たように思います。

裁判シーンで、苦しみや罪悪感から解放された時に涙を見せる満島さんも、

ちょっとクールな姉御肌役の市川さんも良かったです。

 

で、最後に一言…

滝村名誉教授の白塗りメイクは、結局なんだったんだ?(笑)

どうしてもやらなきゃいけない意味…あったん?

 

 

↓第2夜の感想はこちら(第3、4夜は書いてません)↓

rincoro-ht.hatenablog.com

 

↓第1夜の感想はこちら↓ 

rincoro-ht.hatenablog.com