パーフェクトワールド 1話 感想|"共に支え合う事の大切さ"を物語る最後の絵

 

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あくまでも真っ当なラブストーリーなのですが、

「真っ当」だからこそ、見ていくうちに徐々に惹かれていったのだと思います。

全てにおいて完璧な人間なんかいない。

でも、二人で助け合えば完璧な世界が作れるんじゃないか。

公式のうたうメッセージが、見事に映像として具現化された初回でした。結構、好きかも。

(注:文章は長いです。)

 

複雑な要素をどう描いていくのか気になって見始めた初回…

 

脚本家は「隣の家族は青く見える」「地味にスゴイ!」などを書いた中谷まゆみさん。

「隣の家族は〜」の関連記事を当時読んだ事があり、

特にLGBTに対する配慮を十分に行おうとされている点で、勝手ながら信頼感を覚えた方です。

勿論、不器用でも精一杯生きる人々を描いたりするのも上手い。

だから、視聴前は期待と不安半々の気持ちでいました。

 

関テレ枠と脚本家・中谷まゆみさんの作風が合致!

 

ところが、いざ視聴してみると、予想以上に中谷さんの推敲力と調査力が活かされた

初回だったのには好感触。

障がいを持ってる持ってないに関わらず、共通してるのは「皆弱さを抱えている」という事。

つぐみ(山本美月)がかつて無知であった情報、それを知って考え方が変わっていく様は

私たち視聴者も同じなのではないかという事。

つまりは、つぐみは極端に言うと私たちと一緒であったと。

 

本当は気遣いたいのに中々上手く気遣えない人。障がい有無でつい判断してしまう人。

与えられた試練に絶望と虚無感を覚えた事のある人。

そういう人間臭い描写が1時間弱で詰まっていたから、嫌でも共感したり、

自然と主要人物に感情移入したり出来たんだと思います。

 

で、放送枠は関テレ制作枠。例を挙げるなら、学生の抱える闇を描いた「明日の約束」や

新たな気づきを得て変わっていく人々を描いた「僕らは奇跡でできている」など、

心情描写を描く丁寧な作品を多く生み出す傾向のあるところ。

ぶっちゃけ、ここと合致しないはずがないのです。

今更かと言われるかもしれませんが、月9じゃなくてあえて火9だからこそ

活かされる内容だっただろう…と、そう感じられさえもしました。

 

"役者が光ると物語も魅力的に映る"を改めて教えてくれた

 

また、真っ当なラブストーリーを興味深く見られたのには、

樹役の松坂桃李さんと つぐみ役の山本美月さんの演技が魅力的に見えたのも

大きい要素かもしれません。

 

松坂さんは、ざっくり言うなら、最早"樹"そのものでした。

「今は何とかやって行けてるよ」と相手を安心させる表情を見せてからの、

実は疎外感に対する不安を隠そうとする所もチラつかせていたり、

かつて味わった孤独や絶望をありのままに告白したり…

文章で全部表せきれない程の様々な面が詰まっていたと思います。

以前もそうだったんですが、役に溶け込む俳優さんですよねぇ。

 

一方で山本さんも、健気でちょっと天然でもある役をしっかり演じて下さいました。

うんこを大きな声で連発したり、物凄い悲鳴を上げたりしてたのが可愛らしかった(笑)

でもそれだけじゃなく、次は気をつけよう、自分なりに助けてあげようという

真面目さが感じられるのが好きです。

 

劇中では「今の私にはバスケをやってる鮎川くんしか見えてなかった」と言ってる

シーンがあったけれど、美術館では樹に代わって強くお願いしていて、

彼が漏らした時はコートで覆ってあげていたし…十分、思いやりのある人ですよね。

 

二人で共作した"建築イメージ図"のシーンは説得力アリ!

 

個人的に「本作の象徴だろう」と思えたのは、樹とつぐみの二人で完成させた

コンペ提出用の建築イメージ図のシーン。

建築士の樹が線画で描き起こし、仕上げは絵が得意なつぐみが絵具で塗ってみせる。

お互いの技能が合わさって、初めて一つの作品が出来る。二人三脚。

これ、現実で捉えるなら、かなり理想的じゃありませんか?

 

互いに支え合うストーリーは次回からが本番。

いつしか二人が「建築イメージ図」のような関係になれたなら…

そう願わずにはいられないお話でした。

原作の設定ではありますが、「パーフェクトワールド」を表現するには

最適な職業だったんじゃないかと。

 

***

 

長くなるのが分かっていたんで、章立て構成にしました。

うん…案の定、長くなってしまった(笑)

次回からは多分通常通りで行きますけど、とりあえず、惹かれる初回でありました。

 

強いて言うなら、サクサク展開が進んだ故に、二人が親密な関係を持ち始める過程が

ちょっと駆け足だったかな?という事くらい。あと、最後は結構ベタ締めでしたね〜。

 

つぐみの周りには、車椅子姿の人と付き合うのをあまり良しとしない(?)妹、

樹にいきなり抱きつく葵(中村ゆり)という、分かりやすく対抗してくる存在がいます。

是枝(瀬戸康史)も含めて、三角関係やら嫌がらせやら、別の意味での「障がい」を加える

展開に寄ってくれなければ、良作にはなりそうです。

 

やっぱり、関テレ枠好きだわぁ。