凪のお暇 最終回 感想|お暇は終わっても、人生ゲームはまだまだ続く

 

f:id:rincoro_ht:20190719234324p:plain

 

今まで登場人物のそれぞれの成長を見守ってきただけに、 

ああ、これでお別れなんだなぁ…と。

まるで夏が終わってしまうかのような、喪失感でいっぱいになる最終回でした。

 

凪(黒木華)は結局、ゴン(中村倫也)と慎二(高橋一生)のどちらも選ばずに

自分で長いお暇を終える事に。

両者にとっては傷の深い出来事でしょうが…

ゴンは泣いて暫くしたらいつもの生活に戻りそうですし、

慎二は別れた後また号泣しつつ、

それでも何とか上手く切り抜けられそうな気がしちゃいます。

人生には、落ち込んで、泣いて、笑って、学んで…の経験が何度もあるように、

出会いと別れの繰り返しでもあるのだと、全話通してじっくりと描いてくれたから。

 

そして「出会い」と言えば、坂本(市川実日子)と慎一(長谷川忍)が

付き合っているのには意外でしたが(というか…心配で堪らない(笑))、

これはある意味「らしい」ネタの入れ方だったかと。

 

市川(唐田えりか)の今後はどうなるだとか、凪と母は和解出来たのかだとかも

はっきりとは明かさず。

他の作品であれば「尺が足りなかった?」と解釈するかもしれませんが、

本作の場合は、何もかも描き切って綺麗サッパリ!というよりかは

ある程度の「うやむや」を残しておいた方が、

それぞれの日常は画面の外でまだ続いているんだろうなぁと感じられて

良いまとめ方だったと思ってます。

土手の風景の中、凪が自転車を漕いで職場に行くのがラストシーンなのも洒落てました。

 

同じメンバーで何年後かの形で続編を見たいともふと思ったのですが、

「凪のお暇」の通り、これはあくまでも凪が主体となった作品であって。

そう考えると、凪が自分なりに過去と「けじめ」を付ける姿も、

夢を抱えて新天地に挑む姿も描かれて満足の行く内容で終われたので、

続編を求めるのはちょっと違うのかなぁ、なんて。

…と言いつつ、もう会えないとなると寂しいんですけどね。

 

 

冒頭で「夏が終わったような」と書いた通り、

個人的には11時台の「セミオトコ」とセットで

夏にしか出来ない、夏だからこそのドラマだったんではないかと思います。

セミオトコはもろセミを題材にしてるので、儚い命という点で

哀愁が漂う雰囲気になるのは当然っちゃ当然なんですけど、

本作は何でしょうね…貴重な夏休みが終わっちゃう感覚と似てまして。

学生には勿論、社会人にとっては数少ない「長期(夏季)休暇」がある時期で、

それが自然と「お暇」と重なって、凪たちにより共感出来たのかもしれません。

7月始まりだから最終回は9月に終わる訳で、

その頃には視聴者はお暇を終えて、学校に通ったり職場で働いたりしている訳で…

夏クールに放送しようと考えたのも、この作品を選んだのにも

納得させられてしまいました。

 

パスカルズの伸びやかで滑稽さのある劇伴は、

出会いと別れは繰り返すものだし、それで人は成長していくのだ…を伝える

本作の世界観に彩りを与えているようでお気に入りでしたし。

主題歌のタイミングの的確さも、miwaさんのがなりの効いた力強い歌声も

心に刺さる事が多くて、結構好みでした。

 

凪たちが人との出会いを経て何かを学んで…が沢山詰まった回想シーンは、

まるで私たちの思い出を見ているようで、無意識に涙が溢れてしまい…

本作はそんな「どこか他人事じゃないから、放っておけない、応援したい」

気持ちにさせてくれる作品だったと思います。

 

素敵な出会いでした。ありがとうございました。

 

 

↓前回の感想はこちら↓

rincoro-ht.hatenablog.com

 

↓今までの感想はこちら↓

rincoro-ht.hatenablog.com