MIU404 11話(最終回) 感想|今立っている道を信じるのみ

 

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選択肢Aと選択肢Bの世界を両方見せる展開は予想しておらず、

ちょっと戸惑いが隠せない気持ちでした。

正直、ピタゴラスイッチ&巻き戻し演出は本作の持つ疾走感を削いだような気はするし、

ここ最近は緊迫感で張り巡らされたシリアスな話が続いたため、

最終回は登場人物を限界の所まで苦しめて、苦しめて…

ある1つの手がかりをきっかけに一気に立場が逆転する、

例えば久住(菅田将暉)を再集結した4機捜が捕まえる

ドラマチックなどんでん返しになるのだろう…という思い描いていたものとは違いましたが、

逆にあの展開にした事で、軸となる「スイッチ」のワードが活きる

ラストになったのではないかとも思います。

 

もし2つのバッドエンドが、伊吹(綾野剛)と志摩(星野源)が薬に侵されて

ラリっている状態で見た幻想だったとしたら、

「オリンピックが予定通りに行われる世界」もラリっている世界な訳で。

しかし、九重(岡田健史)からのラインをきっかけに、どんどん有利な方に流れていくのも

あまりにも上手く行き過ぎていて、本当にこれが現実なのか穿った目で見てしまう。

 

でも…コロナ禍を生きる2人こそが真実なのだと願いたいし、

それならば無事に助かって、上手くやって行けているのだとも信じたい。

物語の本当の結末がどちらなのかがはっきりと明かされなかったからこそ、

脚本上では描かれない未来の話に自分の望んでいる世界を重ねて、

「きっとあの人ならこうして行くんだろうな」などと4機捜のみんなの今後を想像させる事で

心の中で本作は生き続けるんだろうなぁ…と考えると、

続編は作らずにこのまま潔く完結させてしまった方が"らしい"のかも。

間に合った事。間に合わなかった事。間に合う"ように"した事。

様々な壁に直面し、どう乗り越えて行ったかは今までも描かれてきたから。

 

「不可逆」「自分の信じたいものだけを信じる」

「アンナチュラル」でも本作でも野木先生はずっとこれらを書き続けているので、

最終回でも必ずコロナの話題も絡めてくるだろうと思っていて。

どんな状況に立たされたとしても今の自分を信じるしかないし、

現実が悪い方向に傾いているのだとしたら、そうならないようにと自分で動くしかない…

そんな 避けては通れない現実に向き合っていなかければならないという

ある種の"ドラマの正攻法"を、社会問題を絡めて清く、美しく、まざまざと

魅せて行く作風がやっぱり好きです。

 

表向きは刑事もので、最早定番のコンビものでもあるんだけど、

コンビ以外の各登場人物にも、自分にしかない"正義感"で動く見せ場がしっかり用意されており、

九重や陣馬(橋本じゅん)、桔梗(麻生久美子)といった仲間達から、

REC(渡邊圭祐)や麦(黒川智花)などの脇役的存在まで、

どの人達にも「生」が感じられるキャラ造形も魅力的でした。

井戸の底を思えば…と言う麦の晴れた表情にこちらも救われたし、

陣馬は大丈夫だろうかと1週間心の底でソワソワしっぱなしの

時間を味わえたのもかなり久しぶりだったなぁ…。

 

 

で、来週からまた刑事×コンビものの作品が始まる訳ですが、

まぁ…本作の出来が良過ぎる上にインターバルもないから、

自然と比べられてしまうでしょうね。

正直言うと、私はあんまり期待していないのです(苦笑)

同じジャンルの作品を同じ枠で続けてやる企画力以前に

(状況が状況なので、間に違う作品が入っていた可能性はあるかもしれませんが)、

なんとな〜く、良くも悪くも「ケイジとケンジ」の二番煎じみたいな感じがしてしまうのは

気のせいでしょうか…(汗)

 

 

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