前回から1年後。
勉強を放棄してメイクに励んでいた時期があったが、
いつの間にか学業に専念していた唄(豊嶋花)。
娘だけでなく、誰に対しても健康を気にするようになり、
今までやらなかったインスタやペット育成アプリにも手を出し始めたとわ子(松たか子)。
主語に必ず「好きな人」を入れて話す慎森(岡田将生)。
「元気?」「ごめんね」「ありがとう」の八作(松田龍平)。
前回の感想で「本人が思い出したくない事があれば深堀りはしないだろう」と書いたけれど、
まさしくその通りになり、"何かしら"の想いを抱えながら過ごしているであろう
それぞれの日常が、サラッと描かれていったお話でした。
にしても、告白しているのに「野菜ちゃんと食べてね」「ちゃんと睡眠とってね」って
返されちゃう慎森はちょっと切ない。
それが、大切な人の死から影響していて、
彼=人生のパートナーも失いたくない寂しさから来ている言葉っていうのは
視聴者側からしたら分かるんだけど、本人には完全に届いていないっぽいのがね…(泣)
現実世界では、死は何の前触れもなく唐突にやってくる事の方が多いのに対して、
ドラマという作り物の世界では、あくまでも作者によって考えられた"フィクション"だから、
故人の生前の視点(回想)を取り入れたり、
整理中に出てくる「生きた証」から本人の想いを知り、安堵の気持ちにさせたりして、
視聴者に全てを明かそうと思えばいくらでも表現出来てしまうのですが、
本作の場合はちっとも経緯を教えてくれません。
それが逆に、かごめ(市川実日子)の損失の大きさを感じさせました。
と同時に、衝撃的な展開を食らいっぱなしにされたお陰で、
思いっきり悲しむ間もなく、誰かに心境を打ち明けるタイミングを逃したまま1年が過ぎると、
気づいたら心に膿が溜まった状態になってしまう…という
とわ子の様子を体感する感覚も味わえました。
今まで「心情を描くから、登場人物に共感出来て面白い」と思っていた部分がありましたが、
「何も書かない」が同じ面白さに繋がる事もあるんですね。
いやぁ…凄いなぁ…。
「時間は過ぎていくものじゃなくて、場所っていうか、別の所に存在するものだと思う」
「5歳 10歳 40歳 その時その時を懸命に生きていて、それは別に過ぎ去ってしまったものじゃない」
点と点を結んで線になり、そうして今の自分が出来上がる…
みたいな理論を唱える小鳥遊(オダギリジョー)。
論理的思考を持つ彼がとわ子を励ますのも、
とわ子が初めて会った彼にやっと想いを伝えられたのも、自然な流れ。
歩幅は一緒だし、独自の考えを持っているし、
自分にとって知らない人の話もしっかり聞いてくれるし…
中盤まで描かれた三人の元夫が良い人過ぎたから霞みそうだと思っていた分、
結構素敵な人じゃん…この人ならSeason4でも全然アリじゃないか…と
今後に期待を膨らませていたら、最後の最後で地に落とされた気分です(笑)
しかも恐ろしいのが、ビジネスマンとして登場させて終わりじゃなくて、
その後でまた、"良い人"という印象しかなかった、さっきまでの姿を見せて終わり。
そうですよね。ただの優しいオダギリジョーさんという訳にはいきませんね。
私情を職場に持ち込む門谷(谷中敦)は嫌な奴だったけれども、
二重人格かのようにビジネスとプライベートを切り分ける小鳥遊は、それはそれで怖い。
厄介そうなのは名前からも漂っていて…
三人の元夫は「田中」「佐藤」「中村」という普通の苗字なのに対して、
「小鳥遊」は難読漢字。
三本の矢じゃないけど、元夫が三人集結しても彼には太刀打ち出来なさそう…と思わせる
ネーミングが上手いです(笑)
最後に…余談ですが、1話のゲストとして登場した斎藤工さんが詐欺師役だったのと、
今回から物語のキーパーソンとなるオダギリジョーさんの組み合わせ&ポジションで
「刑事ゆがみ」を思い出してしまいましたね。
(そっちでは、斎藤工さんは下着泥棒=ちょい役。
オダギリジョーさんは、終盤での事件と繋がる「ロイコ」の作者。)
小鳥遊が登場する前触れとも言えるのか。
かたつむりは…あの作品を知ってて取り入れられたのかどうか。知りたいですw
まぁ、偶然でしょうけども。
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