視聴前は、期待と不安が半々だったこのドラマ。
大好きな「モンテ・クリスト伯」の太田Pではあるけれど、
脚本と演出は違う方だしー…
これこそ有名作なのに日本版にアレンジ出来るのかー…などと思っていたものの、
予想以上にしっかり作られてて良かったです。
お二人が織りなす世界観は「かけがえのない親友との貴重な時間」そのもので、
お互いに辛い過去を抱えた者同士が傷を癒すような温かいやり取りや、
災害の時に涼介を助ける純、「俺の分まで生きろ」という最後の会話には
感情がグッと込み上げてしまいました。
吉沢さんの方は、丸刈り姿だけでもかなり気合が入ってるなと感じましたが、
目を大きく開ける姿や大声で叫ぶ姿に魅せられ、あんな迫力の演技もされるのだと、
良い意味で今までの吉沢さんとは違う印象を受けましたね…。
一方で村上さんの方は、言葉が短めの基本的にサバッとした役なのですが、
その言葉の一個一個に相手への優しさが滲み出るような演技がとても良かったです。
個人的に見応えが特にあったのがこの青年期のパートでした。もっと見ていたかった。
後半になるにつれて、「いや、世間狭すぎでしょ!」な偶然が重なるエピソードの多さや
涼介(井浦新)は刑事なのだから、内容を聞けば正当防衛なのは何となく分かって
判断は早くなるでしょ…と、少々気になる部分はありましたが、
描きたい事はきっと描き切ったんじゃないかと思います。
あくまでも、加害者側と被害者家族側がお互いに向き合い、全てを告白して、
決断するまでの30年間を描いた壮絶な物語だったんだと…。
革命や教会などの海外的要素を排除して、震災を絡めて
日本版に落とし込んだ作り手の皆さん、本当にお疲れ様でした。
二人の心が通じ合ってからの、涼介が純(ディーン・フジオカ)を乗せて
警察署へと向かうであろう運転シーンで締める手法も、
まるで映画のような趣で印象に残りました。そこに透明な歌声の主題歌が加わり、
ますます「ピリオドを打ったんだね…良かったね…」と思えましたね。
なぜ3時間1回の放送だったのか、なぜ放送日が日曜日の夜だったのか。
編成側には勿体無い所もあって、長いスパンを描くなら
前後編の方が視聴者も増えたんじゃないかな〜って。
事実、裏番組に流れる人は多かったですし。そこは一番惜しい…。
何はともあれ、役者陣の演技に魅せられたSPドラマである事は間違いありませんでした。
金子ノブアキ&ハセキョーの図太い悪役っぷり、あの図々しさも…たまらんっ!