「実力の付いた棋士同士での真剣勝負」というのを表現するために、
当事者の両方を呼び、同時進行の取調によって互いの心情を聞き出す…という
演出は良かったのですが、見所となるキントリのシーンはあくまでもそれ止まり。
あずさ(紺野まひる)の言う「鉄壁の守りを固める」スタイル。
日名子(松井珠理奈)の言う「次々と攻め手を試す」スタイル。
"自分らしい戦い方"をこれらの言葉で、終盤に簡潔な台詞として片付けるのではなく、
取調で繰り広げられる会話、もっと言えば、思わぬ事件が起きた際の対応を通して
引き出して行ったら面白くなったんじゃないかと思います。
言い換えるなら、本当は殺すつもりはなかったのに、警察沙汰になった事で
疑われている状況をどう乗り越えて行くのか…
そんな策略を見せる描写があったら良かったかなぁと。
大体、あずさが「鉄壁の守りを固める」スタイルな割には、ポロっと毒キノコの事を
漏らしちゃうのも説得力がないですし…事件の畳み方は若干駆け足な印象でした。
ただ、将棋を続けていきたいが故の二人の行為が、まさかの殺人事件に発展してしまう
という切ないオチには見応えがありました。
あずさが犯人なんだろうと予想していた所、途中までは本当にその流れになっていて、
このまま予想通りだったら捻りがないかもー…と思っていたのでね。
どちらがより罪が重いのか。確実に殺人犯とは言えないグレーゾーン。
そもそもの発端は、解説員の八百長発言から始まった事だから。
その解説員のせいで二人は傷害罪、あるいは傷害致死罪という罪を背負う…
苦く理不尽なお話でした。
お話自体にちょっと惜しい部分は見受けられましたが、
今回も善さんを変わらず「仲間」として描いてくれる配慮には好感を持てます。
善さんを呼ぶ台詞。集合写真。クレジット。愛されてますね。
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