獣になれない私たち 9話 感想

 

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今回はメッセージ性が強かったですね。

何気ない会話劇の中に、思わず共感できるような、

チクリと刺さる言葉を混ぜ合わせていくのが野木脚本らしさの1つだと

個人的には考えているので、ここで、やっと濃く出たか…という感じです。

「上手く生きて行きたいけど、それが出来ない "苦しみ" "嘆き"」

「自分らしい生き方の提示」を、登場人物にセリフでもっと早く言わせていれば、

賛否両論な評判にならなかったんじゃないかと思います。

 

中でも、晶(新垣結衣)と朱里(黒木華)の会話が一番印象的でした。

「1人で生きて行くの?」という朱里の問いに対して、晶の答えが…

晶「さっきは3人でビールを飲んだ。

  お母さんみたいな人とまた飲もうって約束した。

  同僚と仕事の事で喜んでハグ。

  飲み友達と夜通しゲームして朝のコーヒーを飲んだ。

  そういう1つ1つを大事にして行ったら生きていけるんじゃないかな。」

結婚でもない、仕事一筋で生きるでもない、

新たな「充実した生き方」を提示してくれたような台詞がとても温かくて。

今まで苦しんできて、様々な経験をしてきた晶だからこそ、

初めてこんな率直な本音を聞けて嬉しくなりましたしね。

(今までの流れが…どうもスロー過ぎたのだ(笑))

 

そんな晶が、会社で朱里の付箋を見ている時に、

飲み友達である恒星(松田龍平)が書類をビリビリ破く所を

紙を共通点にして重ねて、「感情を出すなら今だ!」とする演出も良かったのですが…

その次にまた新たなリアルさを入れ込んできました。

 

退職届を出したくても出せない。

社長に対して怒りをぶつけられない。

ドラマだったら退職届だって出せるし、思いっきり本音を言ってさらば!で

スカッとな展開で終わるんですよね。

そんな流れにしない所も野木さんらしいです。

共感する所をピンポイントに押さえているから、余計〜に辛くなる。

 

昨日の某ドラマの某人物の事を思い出してしまったのですが、

あれをしたい。考えをそのまま言いたい。という本能のままでは

社会でやっていけないのが現実の不条理さ、なんですよね。

上司がムカつくから文句を言いたいけど、そんな事をしたら終いにはクビになる。

クビになったら生きて行く術がなくなり、転職活動が上手くいくかどうかも分からない。

仮に転職出来たとしても、良い会社じゃなかったらどうしよう…

 

こうやって「何かに怯える自分」と「本当の自分」を天秤にかけて生きているのが

現代の人間なんじゃないかと。

友達の場合だってそうですよね。晶が退職届を出さなかったのは、

朱里という「抱えなければならない物」が新たに出来たからでしょう。

目標を掲げる付箋なんか見たら、尚更です。私だって放っておけない。

 

次回で最終回ですが、えーと…5人の今後は!?なんていう煽りを入れなくても(笑)

それよりかは、晶と朱里を含む会社全体の動きが気になります。

 

 

にしても、今回の社長には真面目にムカついた…^^;

ストレスを蓄積させるような、感情を一気に高ぶらせるような、

隙間を空けずガンガン自我を押し通す演技が上手いって事なんですけどねぇ。

 

 

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