結婚相手は抽選で 8話(最終回) 感想と総括(長めです)

 

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龍彦(野村周平)が皆の前でスピーチをする時の、ギターから始まる主題歌の入り、

今までの回想に思わず胸が高まる。ゾクッとさせられる。

 

穴だらけだと言われていた「結婚見合い抽選法」を通して、

自分と向き合い、いろんな状況に置かれた人々と出会い、

また、自分を変えてくれた大切で貴重な相手との交流を経験した

龍彦の結論がこの内容でした。 

「結婚は人間の義務ではありません。

 結婚をしなくても、僕たちはきちんと働いて税金を払います。

 少子化になったって、高齢者を見放すような事はしません。」

 

「ただ、抽選見合い法を立ち上げた馬鹿野郎政府にも僕は感謝しています。

 なぜなら、この中に埋もれていた多くの悲しみを浮き彫りにしてくれたからです。

 国はそれを気づかせてくれた。僕たちに考える機会を与えてくれた。」

 

 「でも、もう終わりにしませんか。僕たち馬鹿野郎もちゃんと学びました。

 自分の頭と心で考えるようになりました。

 "自分をしっかりさらけ出して人と向き合う事が大事なんだ。"

 それが出来た時、某たちは前に進んだと実感できたんです。

 だから、こんな行事、もうお終いで良いんです。」

 

「最後にもう一度言います。結婚は人間の義務じゃない。
 自分たちの人生は自分たちで選んで決めます。」

 

清々しい気持ちでした。

龍彦の成長が感じられる「集大成」と言っても過言ではありません。

 

「本音で話せる人」という同じ条件を書いた奈々(高梨臨)との出会いがなかったら。

あの日、キツくも図星な言葉をかけられなかったら。

広瀬(内田健司)に「君の人生にとってのレジスタンスでもあるね」と

背中を押してくれなかったら。

多分、ここまで自分の言葉で伝える事は出来なかったでしょう。

過去の設定、成長して行く過程がしっかり描かれていたからこそ、

より龍彦という人物に共感したのだと思います。

 

あれから数日後、ようやく法律が廃止されました。

「無理に結婚した人々の今後」「少子化対策」とまだまだ問題は山積みですが…

以前よりも、自分と向き合おうとする凛とした人が増えたように感じられたので、

個人的には嬉しい限り。辛い出来事を見てきたのもあって。

 

好美(佐津川愛美)のお母さんが急に自立するようになった事、

嵐望(大谷亮平)のプロポーズからの隠し子との関わりなど、

気になる所は多少ありましたが、純粋に「良かったね」の気持ちの方が大きいです。

(ただ、嵐望…好美が赤ちゃんを産んだ時に戻ってくるとは、どういう事だ…

「母性が強い」で選んだは良いけど、ちゃんと世話はするんだろうな…?^^;)

 龍彦と奈々の方は、今後関係が深まりそうな兆しが見られて微笑ましい締めでした。

 

結婚は義務ではないけれど、いつの日か自分の運命を変えてくれる人に出会えたなら。

「この人と一緒に人生を歩みたい」と思わせてくれる人がいたなら。

それは、次のステージへ踏み出す「一歩」なのかもしれません。

 

世の中を生きる全ての人々に幸あれ。

このドラマは、視聴者にそう背中を押してくれたような気がしました。

 

 

総括

 

「よく分からないけど、大人のラブコメディなんじゃないの?」

視聴前はそう思っていて特に興味も湧かず、

とりあえず見てみるか〜というノリでいるくらい、期待度は低かったドラマでした。

ところが、蓋を開けてみたら…現代社会の問題を掘り下げる内容に、意外にもびっくり。

 

最後まで面白く見ていた理由としては、

「結婚を義務付ける法律が施行される」というトンデモ設定なのもそうですが、

LGBTや価値観といった「多様性」と 登場人物の群像劇といった「連続性」を

ストーリーに上手く絡められていたからです。

架空寄りにせず、現実寄りにもせず、

丁度良い塩梅で今後の展開に興味を持たせてくれました。

 

強いて言うならば、やっぱり、全体の構成は少し勿体なかったです。

特に前半1〜4話。

以前の感想にも書きましたが、1話はあらすじ通りの「(起承転結の)起」だけで

引きが足りず、終盤に見合い開始の動きを入れたら

もっと締まったんじゃないかというのもありますし…

2、3話は流れが似通っているのが気になりました。

5話辺りからようやく主要人物が関わり出して、7、8話でかなりの急展開。

せっかくの良い作品なので、前半をもっと工夫出来ていたらと考えてしまいましたね。

そうすれば、視聴者を多く取り込めたんじゃないかと。

 

高橋優さんの主題歌「aquarium」のイントロの入りには毎回ワクワクしましたし、

何より、野村周平さんにとっては、これが代表作になったかもしれません。

本人のノリの良いイメージを覆すくらい「宮坂龍彦」になりきられていました。

高梨臨さんも、ちょっと気の強い、けれど繊細な心を持つ

お姉さん的役柄にぴったりでした。

 

現代社会、ナイーブな問題に切り込みつつ、

かつ見やすいドラマにまた1つ出会えた事を、心から嬉しく思います。

ありがとうございました。

 

 

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