イノセンス 冤罪弁護士 8話 感想|人間のズルさと現実の理不尽さが身につまされた秀作回

 

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理屈抜きで「今までで抜群の出来だった」と言っても過言ではありません。

この回だけで映画が作れるんじゃないかと思えるくらいの秀作でした。

 

物語の構成面から今回の良さを考えるとするならば、

前回に続けて「依頼人を救おうと懸命に努力する」主人公の姿が終始描かれていた事。

その主人公の動きをベースとして更に「死刑囚が置かれている状況の残酷さ」

「父が死刑と宣告されている娘の生きる事への辛さ」「マスコミ側としての罪悪感、無力感」

と、1つの事件を通して様々な立場にいる人物の心情を各方面からじっくり

描き出して行った事が、話に深みを持たせ、結末に余韻を残した

大きな理由の1つだと思います。

 

そして、本作での登場人物に感情移入させるだけに留まらず、視聴者側に向けては、

「"自分への保身""見て見ぬフリ" は時に誰かの人生を狂わす凶器になるかもしれない」

という身につまされるメッセージを、説教じみたセリフや説明で解決する事なく、

あくまでも人物描写や心情を通してさり気なく伝えたのもお見事。

実験をしても犯人の娘が証言しても「その犯人が死亡している」限り、

よほどの証拠がなければ再審請求は通らない…開かずの扉は開かない。

日本社会の現状における不甲斐なさ、やるせなさをひしひしと感じた回でもありました。

 

死刑囚の式根(片岡鶴太郎)がガンを患っていた事。拘禁反応を起こしていた事。

娘の玲子(星野真里)が身を潜めて必死に生活を送っていた事。

これらの事もあって、ずっと胃をキリキリさせながら見続けていた分、

最後の親子での面会には泣けました…。お二人の演技で魅せられたシーンでした。

(ヨガで痩せている鶴太郎さんの体つきも、役にハマってて妙にリアルに見えたし。)

主題歌の入りも、いつにも増して秀逸!

 

もう死刑囚として余生を過ごすしかないのか。普通の生活は送れないのか。

親子揃って報われる日は来ないのか。

考えたら切なさで胸がこみ上げてきますが…親子での再会、

「大きくなったな」と娘の手を重ねられた事が、

父・式根にとっては少しでも心の救いになったんじゃないかと信じたいです。

 

 

2話で感想書くのを止めてた本作ですが、

今回に関しては流石に書かざるを得ない気持ちにさせられましたね。

それくらいには良く出来ていたし、

自分にとっては色々な意味で「ショッキング」な出来事でしたから…

未だに引きずっている回です。録画してなかったのも後悔。

 

黒川の存在感も「人への懸命さ」「思いやり」という点で、

序盤と比べてかなり増してきたんじゃないかと思います。

その性格を決定付けたのが、後半での裁判所に自分の考えを訴えるシーン。

「失った24年間が取り戻せなかったとしても、

この先の未来までを奪う事は許される事ではありません。

過去の誤った判決に捉われず、真実に即した結果が降るよう強く望みます。」

ここの力強い言葉がとても良かった。

 

検事が指宿(小市慢太郎)しかいない事の非現実さ、和倉(川口春奈)の虎丸化、

特に必然性のない横槍設定が最初からない状態で、

今回のような余韻の残る回をもっと早く出せたなら…と思うと惜しいですが、

残り2話も見応えのある話になるよう期待したいです。

 

 

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