*2024年 春ドラマ 視聴リスト&期待度*
4/17:Destiny 2話 の感想記事をUPしました。

ヤングシナリオ大賞 ココア 感想|架空と現実が混ざり合う温かさ

 

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面白かったですねぇ。特に背景の説明はないまま

各3人のいる世界、関わる相手との会話にフォーカスを当てた構成だったので、

この子はどんな子なんだろう?どんな境遇にいるんだろう?と

登場人物に興味を持ちながら見る事が出来、あっという間の1時間でした。

後半になるにつれて徐々に明らかになる展開も良かったです。

 

本作の脚本を担当したのは なんと14歳の女性だそうで、

今学生として生活しているであろう彼女だからこそ

3人の持つ心情に思春期ならではのリアルさが滲み出ていたと思います。

 

「夜の渋谷に制服でフラつくような女性」「W不倫している両親の子供」と、

中々突飛な設定もありましたが、それらが「フィクション」なら

3人の心情描写は「ノンフィクション」。

フィクションとノンフィクション、つまり、ドラマならではの架空と現実が

良い感じに溶け込んでる作品でもありました。

 

リスカをしたり、実際に誰かを自殺未遂させるまでいじめたりという経験は

視聴者の中には少ないでしょうが、その中に秘められた

「本当は誰かに甘えたい」「もう子供なんていう年頃ではないから、

どうやって想いを伝えたら良いのか分からない "もどかしさ"」

「人に嫌われたくなくて新しい自分を装うとする自分」という所は

経験した事はあるんじゃないでしょうか。

 

「ほろ苦い」過去(現状)を抱えた主人公たちが、

相手と打ち解けあって感じる「甘い」温もり。だから「ココア」。

タイトルのネーミングも秀逸なものです。

主人公3人はあくまでも別の日常を過ごす人々であって、

最後に同じ場所に集まりはするものの対面はしないって所も、

「現代を生きる」という点でリアリティが感じられて粋なラストでした。

 

強いて言うならば、やっぱり、3人の髪型は変えてみたら

もっと見やすくなったかと思います(これは演出面の事ですが)。

ショートにするとか、縛るとか、メガネにするとか。

私は「見分けが付きにくい」という事前情報を得ていたため、相関図を見ながら

この子は黒めの服、ホクロ、おでこ…で覚えていたものの、

リアルタイムだったら多分ややこしかったかと(笑)

後は、ココアの缶をもう少し強調する演出にするとか、

2人目の主人公のお母さんは、真昼間に不倫してよく近所に噂されないね…とか、

ちょっとだけ気になる部分はありましたが…

 

まぁ、粗探しと言ったらそれまでなので。

それらを払拭する程の興味深い作品である事には間違いありませんでした。

 

脚本家・鈴木すみれさん。

憧れの脚本家は坂元裕二さんだそうで、確かにそれを受け継ぐような

独特な世界観が感じられましたし、その分、刺さる人には深く刺さるという

(良い意味で)大衆的ではない作風になっていくんじゃないかと思われますが、

今後色々な作品でお見かけしたいです。楽しみです。