僕らは奇跡でできている 8話 感想(長めです)

 

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山田さん(戸田恵子)も、虹一のお母さんと同じになってしまう可能性があったと…。

今まで謎に包まれていた山田さんと相河(高橋一生)の関係、

タコが食べられない理由がようやく明かされた回でした。

 

1話で言ってた「先送りが得意技」が、まさかあそこまで深い意味を持っているとは

思わなかったなぁ。

 

物語は「相手の変化」から「自身とその親の変化」へ

 

初っ端から個人的な解釈で申し訳ないのですが、

本作は「3つの章立て構成」で成り立っていると考えています。

あくまでも、「こんな意見もあるんだな」という目で見て頂けると幸いです。

(残り2話がどうなるのかは、まだ分からない前提で)

 

第1章(1〜2話):相河と視聴者、相河と周りの人々のドラマ内での絡みで、

           彼がどんな人物なのかを知ってもらう「出会い」

第2章(3〜7話):その出会いにより、人々が徐々に自分と向き合うようになる

          「相手(大学生、育美、涼子など)の変化」

第3章(8話〜)  :変われた人や影響を与えてくれた人にサポートしてもらい、

          相河と母・山田も自分と向き合うようになる

          「自身とその親の変化」

 

(自身の考える)3章に突入しましたが、全てのエピソードにおいて

「思い込みからの解放」「人と人の繋がり」を描いている事には変わりないんです。

1つ1つを重ねていって、深みが増すドラマになっているんですよね。

スープの具材が煮込まれていくようなもの。

 

ここで相河と山田さんの親子関係の話になったのは、ある意味必然的な流れでした。

前回で虹一(川口和空)と母・涼子(松本若菜)の事を取り上げたのも、

今回に繋げるための伏線だった訳です。親子から親子へのバトンタッチ。

 

次のステップへ進もうとする相河の姿

 

自分を好きになれた相河ですが、11年もの間、抱えている謎がありました。

・山田さんから自分が生まれたという事実

・タコが食べられない事

 

相河も周りと同じように、何かに直面して悩んでいたり、

タコを「嫌いの象徴」だと思い込んでいたり、「普通」が分からなくなったりする…

今を生きる一人の人間です。

そんな相河の悩みを聞いてくれるのが、育美(榮倉奈々)という存在。

自ら相談するほど、他人が入り込む光がどんどん大きくなっているんだ…と、

彼の成長がまた一つ垣間見えて嬉しかったですね。

 

鮫島先生(小林薫)や義高(田中泯)のサポートがなかったら、

相河が最後にあの答えを出す事は中々出来なかったと思います。

2万円じゃなくて1万円だったらどうだったのか。どうして11年後に戻ってきたか。

 

タコの件については、「母が買いに行ったまま戻って来なかったから嫌い」

ではなく、「食べられなくなるほど、あの頃の自分は山田さんの事が大好きだった」

という「大好きの象徴」に考えを変えられました。

「ずっといてくれると聞いて嬉しかった」当時から心に秘めてある感情も含めて、

思い込みからの解放に至る要素は、根本的にはここにあったのかもしれません。

どの言葉にも「山田さん」が入っている事は、

裏を返せば相手への思いやりになる。

 

なぜ家政婦として一緒にいてくれるのかという長い時間をかけた考えも

相手のためを思っての事であり、謎をとことん突き詰める性格の相河は、

山田さんが凄く納得出来るような答えを出してくれました。

 

「僕らは奇跡でできている」の意味

 

 犬と猫の分類も重要でないように、山田さんが家政婦か母親かも重要ではない。

相河は次のように力説します。

 

相河「重要なのは山田さんが存在していることです。

   山田さんがいなかったら僕は存在してません。
   僕が存在してる確率を計算しようとしましたが全く出来ませんでした。」


  「約2億ある生死の中から選ばれたのが僕です。
   それだけでも2億分の1なのに、

   そもそも山田さんが女として生まれなかったら僕は生まれません。

   それから、山田さんがお父さんと出会わなかったら僕は生まれてません。
   それから、僕が生まれるまでに山田さんが死なずに生きていなかったら

   僕は生まれません。」


  「僕が生まれる確率、お父さんに出会う確率、

   山田さんが生きている確率を考えたら本当に奇跡的です。
   さらに山田さんが山田さんのお母さんから生まれる確率を考えたら、

   僕が存在する確率はもっと奇跡的で、
   山田さんのお母さんが山田さんのおばあちゃんから生まれる確率を考えたら
   僕が存在する確率はもっともっと奇跡的になるわけで…」


  「とにかく、先祖代々奇跡的なことが起こり続けてきたから

   僕が存在しているわけです。それってすごいです。

   生まれただけでもすごいのに、この世界にはすごいことがたくさんあります。
   僕がまだ知らないこともたくさんあります。すごいです。」


  「山田さんから生まれてきて良かったです。」

 

手を大きく動かしながら熱く語る相河の姿に、もう、胸が込み上げてきて…。

普通だったらこの結論は、「いやいや、飛躍し過ぎでしょ!」ってなる所ですが、

「良い所を見つけようとする」相河だからより印象に残るんですよね。

 

「生まれてきてくれた事が奇跡」

これは、前回の「良い所を100個言う」の件りもあって、余計に心に染み渡りました。

生き続ける事。自分を産んでくれた事。この2つも100個の内に入ります。

 

山田さんだけでなく、全ての人が生まれてきた事。

そして、数多くの人のうち、何人もの出会いがあった事。

人口の確率を考えると本当に凄い。

全てが「奇跡」で、だから「僕らは奇跡でできている」。

今回でとても腑に落ちました。

 

回想を見せず、二人の演技で魅せた背景描写と展開

 

内容自体も興味深いのですが、

高橋一生さんと戸田恵子さんの演技にも見入りましたね。 

 

「タコのエピソード」や「怒られていた過去」の回想は一切出さなくとも、

表情や話し方で、何となく当時の事が思い浮かぶくらいでした。

 

それに、お互いがどう行動をとるかという展開の読めなさも感じられました。

何か言いたくても言えないし、いつもは質問攻めにするのに、

山田さんが話しているときは、涙を溜めながら最後までじっくり聞いていた相河。

涙ぐんで正直に告白する山田さん。

「次はどうなるの?」と気にさせる所も、役者の力でしょう。

 

虹一と母のその後も「メガネ」で表す秀逸さ

 

二人の演技も凄かったように、虹一と涼子の変化を思わせる言葉選びも秀逸でしたね。

今後の描写や涼子との出番がなくとも、

相河に嬉しそうに話している様子だけで十分に分かります。

 

「僕の良い所がいっぱい見えるメガネ」

透明なメガネを持つ涼子が、大切な息子に魔法のメガネをくれました。

昔は嫌だった塾。でも、今では行くのが楽しくなった虹一くん。

本当に良かったです…。

 

 

***

 

自分を好きになった育美に、また新たな変化が出ましたね。

昔だったら、歯科の3人で一緒に帰ったり、どこか飲みに誘ったりする事は

なかったかもしれません。

 

彼氏を連れてきた場所が山なのも、また粋な選択でした。

街に遊びに行くでもなく、どこか食べに行くでもなく。

大らかさ溢れる広〜い景色が見える所で、

本音を言って気持ち良く別れを切り出せました。

彼氏の方こそ、雑誌の事とか自分と比べていた事とか、素直に言った方が

良いんじゃない?というのは置いといて^^;

 

次回は樫野木(要潤)が変わる話みたいですが、

相河が育美とどういう関係なのか…を告白するシーンもありましたね。

まぁ、あの予告なら、恋愛パートだと思わせるミスリードかもしれません。

水泳を始めた事も含めて、相河の動きがますます楽しみです。

 

 

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