僕らは奇跡でできている 7話 感想(長めです)

 

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いつも面白く見ていますが、「最初から見ていて良かった…!」と強く感じた点では

今回が一番でした。

そういうカタルシスがあるのも、次が気になると思わせるのも、

「連続ドラマ」だからこその醍醐味。

色々な人物に感情移入出来るのは本当に嬉しい事です。

 

相河先生と虹一母・涼子の対比

 

さて、3話以来、いよいよ虹一(川口和空)と涼子(松本若菜)を

メインにした話が動き出してきました。

塾を勝手に休んで母に怒られた虹一は、今度は学校も休んで

家の窓から逃げ出し、相河(高橋一生)の住む家に助けを求める。

翌日、涼子が説得しにお迎えに来るという流れです。

 

ここで、相河と涼子の意見が正反対な事に、なんとも複雑な気持ちになります…

共通点は「虹一くんの事を見守っている者同士」なのに、

相河はポジティブな方に、涼子はネガティブな方に、考えが分かれてしまうんです。

 

相河は基本的に、相手の良い所を優先的に話します。

「虹一くんといると楽しいです。」「僕、虹一くんの良い所を100個知ってます。」 

それだけじゃなく、涼子が出た後も虹一を悲しませないよう、

「明日は森だね」「リスに会おう」と話題を変えてくれるんですよね。

 

一方で涼子は、相手を想うがばかりの心配事を優先的に話します。

「ダメ」というよりかは、「どれだけ人に迷惑かけてるか分かってるよね?」とか、

「今のままじゃ虹一だって嫌でしょ?」とか、周りの誰かと息子を比べてしまいがち。

彼女は母親の立場なので、我が子を何とかしなくちゃ!っていうのは凄く分かります。

 

「自分の良い所を見つめ直す」をテーマとしたほんのり優しい脚本

 

 でも、このドラマは別に、どちらかの気持ちを一方的に押し付けるのではなく、

「一回立ち止まって自分と向き合ってみたら?」と優しく投げかける作品。

今までもその作りは健在です。

 

今回は、人と人が褒め合うシーンが多く見受けられました。

例えば、鮫島(小林薫)と義高(田中泯)の場合だと、

相河を豊かに育ててくれた事への感謝の意をお互いが話しています。

鮫島「やっぱり、一輝はあなたで出来てますね。」
義高「何もしてませんよ。」
鮫島「一輝に安心出来る世界を作ったじゃないですか。」
義高「家とこの森だけ。ちっぽけな世界です。」
  「それだけでも、この世界にいて良い理由になる。
   外に安心出来る世界を作ってくれたのは、鮫島先生です。」
鮫島「一輝は、思っていた以上に影響力ありますよ。順調です。」

 

他には、大学生4人のシーン。青山(矢作穂香)が尾崎(北香耶)に

「尾崎さんの才能見つけた!人には話せないけど、尾崎さんにはなぜか話せる」

や、尾崎が新庄(西畑大吾)に「爪の形が綺麗!」と言った所がそうです。

「そこなんだ!?」と最初は思いましたが、ほんの小さな事でも1つの良い所として

見つけられるのが、尾崎のまた新たな才能ですね。

1話ではノートに書いていた事を中々発表出来なかった彼女が、

「言いたい事を言える人になりたい」と宣言出来るまで成長したのが

純粋に嬉しいです。さりげなく応援していたので。

 

ここで紹介した人たちは、育美(榮倉奈々)、山田さん(戸田恵子)も含めて、

相河に影響され、影響を与える繋がりのある関係。

涼子も最終的には自分の過去を認めてくれたので、

彼との出会いにまた影響を受けた一人になりましたね。

今度は自分をいじめ過ぎないかなぁ…とは少し不安にはなりましたが、

虹一くんのお陰で恐らく何とかなりそう。

 

相河が自分の過去について話すシーンにもあえて言葉を返さず、

「涼子がそれを聞いてどう受け取ったのか」を思わせる内容にしたのも良かったです。

 

「誰でも出来る事は出来ても凄くないんですか?」

 

一番心に突き刺さった言葉。

良い所を100個言う。私は最初、「そんなに言えるの!?」と思っていました。

"周りよりも優れている所" だと勝手に捉えていたからです。

 

でも、相河は育美に「時間を守ります。」「歯を綺麗にします。」

「クリニックの院長です。」「子供たちに歯の勉強会をしてくれます。」

と"今までの育美の努力" に関して認めてくれている言葉から、

「よく食べます。」「餃子の形を揃えられます。」

「会った時にこんにちはと言ってくれます。」と、そこまで特異でない事まで

良い所だとして話しました。(特異でない って言ってしまうのも思い込みですが。)

「自分と相手」よりも、「自分自身」を大切にするのが相河ですから。

 

勉強でも社会でも「評価」される世の中なのには変わりないですし、

競争だってどこかで必ず起こりうる訳ですが、

そこに流されてばかりでは、自分を追い詰めて嫌いになってしまうかもしれません。

 

これはあくまでも、私個人の話です。

事実、高校生の時は、毎回テストの時期になると、

「順位」「点数」が各教科ではっきりと紙で掲示されるほど

勉強に力を入れている学校に通ってました。

なので、順位が上がるととても嬉しかったですし、

もっと上に行こうと頑張っていましたが…

「前はあの人に"勝っていた"のに、何で超えられなくなったんだ」と自分を責めて、

泣き出した時期もありましたね…。

今となっては、当時の自分に見せたいくらいです。

 

本作はあくまでもフィクションで、相河先生は、鮫島先生や山田さん、

おじいちゃんとの出会いがあったから、大学講師になれているのですが、

「周りと比べられる」という点では、過去の相河先生と一緒だったんですよね。

架空と現実が上手く組み合わさっているから「誰でも出来る事は〜」にも

強く共感したんだと思います。

 

 

***

 

相河と周りの人との出会いが「奇跡」なら、私にとっては、

このドラマに出会えた事が「奇跡」です。 

褒め過ぎかもしれませんが、平成の終わりに価値観を考えさせてくれる

深い作品が見られる事に感謝してます。

 

今回は、CMがいきなり差し込まれた感じがしたのが気になりましたが…

いやはや、それを払拭するほど充実したストーリーでした。

 

山田さんの事はびっくりですね…相河が虹一に誰が家に住んでいたかを話す時、

おばあちゃんやおじいちゃんの名前は出てきましたけど、

お父さんとお母さんの事は全く出てこなかったので。話題にも上がりません。

本当に山田さんから生まれていたのかどうなのか…?

 

次回予告では「ずっと家政婦としてここにいさせて頂くつもりでした」と

言っていた山田さん。

ここはどうなっちゃうんでしょうねぇ。ますます謎です。

 

 

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