僕が笑うと 感想|ハートフルだけど、1人1人の動きをもっと見たかった

 

f:id:rincoro_ht:20190326234622p:plain

 

うーん、惜しいですね。 

人と人が思いやりをもって支え合う作風は好きなだけに、

予告の時点で泣けてしまうほど期待度が高かっただけに、

締めまでのまとめ方は本当に惜しいという気持ちにさせられました。

 

一番見応えがあったのは前半部分。

血の繋がらない者同士である重三郎(井ノ原快彦)と浩太(渡邉蒼)が、

不器用ながらに少しずつ、自分なりに相手と距離を縮めようと直向きに努力する姿は、

「擬似家族」ではなく最早「家族」そのものでした。

母側の誠子(上戸彩)の子育て描写はあまりなく、

ここでの話の軸が「父と子の成長」に置かれているような

「家族の物語」としてはバランスの悪い印象は伺えはしましたが、

その分、重三郎と浩太の成長っぷりはよく描かれていたのかなぁと思います。

 

そんな感じで、サクサク進む作りには目を瞑りながら視聴したのですが…

戦争の時代に入ってからが若干薄っぺらく感じられてしまったんですよね。

戦争中なのに服綺麗だね…航空機が当時のやつに見えないね…っていうのはともかく。

本当に勿体なかったのは、その時代を生きる人々に焦点を当てた

心情や動きが描かれなかった事。

だから、あまり感情移入はしづらかったです。

 

赤紙を渡された時の吉田(竜星涼)の複雑な気持ちとか、

兵隊として戦地に赴いてる重三郎が、妻と子供達を思って生き抜く姿とか。

逆に、家に取り残された誠子と子供達が、苦しい状況の中でも必死に父の帰還を信じて

待っている姿とか。(配給を受けてる様子もなかったから、それも含めてあっさりしてた…)

もっと一人一人を掘り下げて行った方が見応えがあったでしょう。

多分、連ドラ形式が向いていたのかもしれません。

その方が、まっさらだった子供達が、軍国主義に重きを置く学校教育に徐々に侵されていく、

蝕まれる恐怖も更に表現出来たかもしれないし…

 

戦争の時代に生きる心情や動きがじっくり描かれなかったから、

いつの間にか終戦になってて、

いつの間にか重三郎が無事に帰って来てしまったのにも残念な感じ。

結末までが偉い早く進んだなぁ。

とにかく、全て四つ葉のクローバーのお陰なんだよ!っていうまとめ方は雑過ぎました(笑)

 

現代パートの方も、どうせ育てられた子が出て来るのだったら、

他の4人はどうなったのかとか近況も知りたかったですね。

100点のご褒美が何だったのか、視聴者の想像に委ねるスタイルなのも別に良いんですが、

ちょっとくらいヒントが欲しかった、な…。

 

終戦記念日でもない時期に、戦争を舞台にしたSPをやるのも不思議なものですけど、

別に平成の終わりは関係ないしな。昭和の話だしな…?

戦争を意識する夏じゃなく、あくまでも「当時の人々の日常」を

フラットな気持ちで見て欲しいって所なんでしょうか。

 

内容はあっさり気味でしたが、元々にこやかな性格の井ノ原さんが、

本作の誠実だけど心優しそうな役にハマっていて。

丸眼鏡姿もお似合いだったのが良かったです。

勿論、儚げでか弱く見える、上戸さんの自然体な演技も良かったです。