監察医 朝顔 2話 感想|「生きている」事が何よりもの宝物

 

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法医学で事件推理モノ…といった定番は踏襲してはいるけれども、

正直、物語の見せ方はモッサリしていて、地味ではあります。

だから、事件に意外な展開が!という1話完結パートに期待を寄せていた

視聴者にとっては、少々退屈だと感じる人もいるかもしれません。

でも、作り手側が伝えたいのはそういった意外性じゃなくて、

1話完結パートも震災パートも、親子での日常パートも全て通して

「生きている事は何よりもの宝物なのだ」

というメッセージなんだと思っています。

 

初回で既に震災パートをガッツリ踏み込んでいたので、

今のままで十分興味深いのに、ちと盛り込み過ぎじゃないか?と

不安に思う所もありました。

ですが、あえてそれを先に描く事で、今回のご遺体である

「どんな理由であれ、自殺という選択肢を"取ってしまった"やるせない死」に

朝顔上野樹里)の母の「本当はまだ生きたかったのに"突如命を奪われてしまった"死」

が対比として重なり。

貴重な命を自ら絶つ事は、いかに愚かで悲しい行為なのか…という点で、

命をテーマとする物語に深みを持たせていたんじゃないでしょうか。

 

ご遺体になった「課長」はスーツ姿のホームレスで、家族はおらず、

フグを釣って来ては「接待で食べた時美味しかったなぁ」と昔を懐かしむ人物。

この設定なら、会社からはリストラされ、妻とは離婚、親権は妻に渡って

孤独になってしまった元サラリーマンの末路…として

切ない話を用意してそうなものですが、

彼がどんな人生を送ってきたかは多く語らず、所謂「泣かせる」展開に

持って行かなかった所にも好感が持てました。

 

監察医は、命と向き合うのにかなりの覚悟が要る職業。

「たった一人で誰にも弔われずに死ぬ」という言葉で見せた

親子の曇った表情が、全てを物語っていた事でしょう。

 

その時の上野樹里さんと時任三郎さんが何とも印象的でしたが、

回想での「あなた、生きてるのよね?」と話す山口智子さんのシーンには

かなりズシンと来るものがありましたね…。

今まで見た役は自由で似通っているものの、たった一言でも自分の物にする

引き込み力のある女優さんなのだと再認識。

 

終盤の平(時任三郎)の結婚反対の件は、同じ刑事だから、

自分みたいに駆けつけなければならない時に駆けつけられなかった事が

再び起きるんじゃないか…といった実体験故の不安から来てるんだと思います。

道のりは、まだまだ遠い…ですね。

 

 

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