おカネの切れ目が恋のはじまり 1話 感想|言葉遊びが実に「良き」

 

f:id:rincoro_ht:20200917003812p:plain

 

何かとニカッと口をいっぱい伸ばして笑う猿渡(三浦春馬)が

本当におバカさんで、でもどことなく放っておけない愛されボンボンに映るから、

"猿渡"というキャラクターとしてフラットに見る事が出来た…と思っていたんですが、

やはり、見終わった時に一気に襲ってきますよね。「どうして」っていう虚無感が(泣)

 

開始5分も経たずにこれは面白そうだと感じて、

最後までその感覚は途切れる事ない仕上がりだったから、

全10話だったらどんな内容になっていたのかな?なんてつい考えてしまいます。

ああいかんいかん。本人はあくまでも"役"を演じ切っているのだから、

誠意に応えて、一つの作品として感想を書かねば…ですね。

 

さて、気持ちを切り替えて、内容の方はと言いますと…

「これは経費で落ちません!」を視聴した事があるかないかで

本作に対する新鮮味は結構違って来そうです。

私は視聴済なので、経理部の設定、非売品をフリマアプリで売ってしまう展開、

そしてほんのり恋愛を匂わせるオチなど色々と既視感を覚えてしまったのですが。

その代わりに、ノリノリな演出や言葉遊びの"クセの強さ"で

本作らしさを築いていくのではないかなぁという淡い期待もしています。

良いですよね。「ほころび」「良き」「お金と仲良く」。

九鬼(松岡茉優)の慎ましい性格を象徴したかのような台詞に

クスッとさせられる感じが好き。

 

個性豊かな経理部のメンバー設定も似てると言えば似てるんですけど、

各ポジションと中の人のキャラクターの組み合わせに無理のないキャスティング。

TBSドラマには必ず芸人が起用されているイメージでも、

アインシュタインの稲田さんは中々良い味を出しそう。

 

父に信用されたいくだり、自分の作りたいおもちゃを実現させるという夢、引っ越し、

更に本筋の「無事に営業部に返り咲けるのか」「九鬼と結ばれてしまうのか」と、

猿渡に関する伏線がかなりある印象でしたが、

残り3話でどうやってまとめて行くつもりなのか…そこも見所ですね。

 

基本的には辛気臭い雰囲気にはならないようで、少し安心しました。

春馬さんに別れを惜しみつつも、あまり気負わず、

「ラブかもしれないコメディ」を楽しみます!

 

 

↓次回の感想はこちら↓

rincoro-ht.hatenablog.com

 

 

おじさんはカワイイものがお好き。 5話(最終回) 感想|人は推しと誰かの力で生きている

 

f:id:rincoro_ht:20200814144911p:plain

 

良い最終回だったわ…。

この手の話だと大団円の結末は予め読めはするものの、

それでも、その予想を凌駕するほどの爽快感と、幸せに満ち足りた感じが本作にはあったなぁ。

 

全5話の短い話数でも過不足なくきっちり完結出来たのって、

恐らくメインの登場人物が4人という、限定的な人数に絞ったのが大きいんでしょうね。

サラリーマンと、同僚と、取引先の相手と、親戚という関係性も効いていて、

小路さん(眞島秀和)の家に住む真純くん(藤原大祐)がある日

鳴戸くん(桐山漣)かケンタくん(今井翼)のどちらかにばったり会うのも、

あまりご都合主義を感じさせない設定でしたし。

それに、この人がまさかあの人と仲良くなるとは!とか、

実はこんな一面を持っていたのか!とか、

多過ぎずかと言って少な過ぎず…という絶妙なバランスで、

人と関わっていく事による"新たな発見"や"可能性"を

様々なパターンで見せてくれた面白さもありました。

 

小路さんもケンタくんも口を揃えて「良い歳したおじさんが」と自分の事を言っていたけれど、

歳をとっていくにつれて良くも悪くも周りを窺うようになって、

無意識のうちにその言葉が自分の行動を阻む足枷になってしまうんだろうなぁ…

というのを垣間見たようで。

だから、公園で人目を気にせず「好きです!」と言って握手するシーンには

思わず嬉しくて泣けちゃったんですよねぇ。

前から子供達がはしゃいで通り過ぎる姿も映したのが、個人的にはグッと来る演出で、

この時だけでもありのままに生きていた少年の心を取り戻せたかな…

というのを想像させられて、仲直り出来た2人についつい感情移入してしまってました。

 

人は一人で十分だと思い込んでいても、案外そうは行かず、

自分の背中を押してくれる人、"好き"を一緒に分かち合ってくれる人がいる事で

初めて生きて行く価値を見出す。

そして、その"好き"が共通していると、二倍楽しい。

 

あくまでも「推しを愛でるおじさん達の話」なんだけど、

もしかしたら、大切な人と自由に出かけて思い出を作ったり、

自由に会ったりする事が未だ自粛状態になっている、

人恋しい今の状況には刺さる作品だったのかもしれないなぁ…とも思ったり。

 

伝えたいメッセージを決して説教臭くはせず、

深夜らしいユルさとクスッと笑えるコメディの2つでオブラートに包んでお届けした

本作が大好きでした。

パグ太郎にももっと会いたいな。ぜひ、Season2を希望!!

誕生日とか、今度こそご当地キャラショップに行くとか、

まだまだ書けるエピソードはありそう…♪

 

 

↓前回の感想はこちら↓

rincoro-ht.hatenablog.com

 

↓今までの感想はこちら↓

rincoro-ht.hatenablog.com

竜の道 二つの顔の復讐者 8話(最終回) 感想|最初から凛子と手を組めば良かったじゃん。

 

f:id:rincoro_ht:20200728233631p:plain

 

えぇ〜〜〜…ただの殺し損じゃん、竜一(玉木宏)よ…。

結局、復讐計画は遂げたんだろうけど、

源平(遠藤憲一)はせいぜい失業したサラリーマンと同じ程度の

不幸しか味わえていないですよね。

これは彼の割に合っていたのでしょうか。

軽くあしらわれたSNS拡散描写で撃退するくらいだったら、

最初からブラジル時代から共にしてきた凛子(奈緒)に真相を打ち明けて、

竜一は行動派・彼女はハッカー&頭脳派のコンビで、源平の情報収集をしながら動いていれば

サクッと解決したかもしれないのに…。

「竜の道」だけにくねくねと遠回りしていましたけど、

もしかして、終わらせようと思えば5話構成でも全然行けたんじゃないですかね?

 

そもそも、前回で銃を渡されたなら真っ先に源平を撃ってしまえ!って話ですし、

復讐計画とは無関係の沖(落合モトキ)は部屋に行った途端すぐに殺れる癖して

彼は撃てずに逃がしてしまうなんて、優柔不断にも程があるんですよねぇ。

最後まで「竜一は復讐に向いていない」というのがブレなかった所は

ある意味凄いとは思います(苦笑)

 

そうですね、まぁ、総括するとするならば…

本作の最大の失敗は「導入部分の分かりづらさ」と「登場人物の多さ」の

2つにあったと考えています。

 

まず、「導入部分」というのは初回の事。

以前にも同じような内容を書いたかもしれませんが、

復讐劇を描くにあたって最も重要になってくるのは「いかに視聴者を共感させられるか」です。

本作の場合は、子供時代に根付いてきた"兄妹愛"や"家族愛"を

じっくり見せながら描いていくのがマストでしょう。

しかし、せっかく2時間もあり、コロナの都合で恐らく2話分合体になったとは言え、

前半の1時間で家族間の心情を深掘りする事はせず、

肝心の動機の紹介は所々に回想を差し込んで終わってしまった。

そして、過去と現在を行き来する構成にしたが故に、それが余計に分かりづらくなり、

双子が長年培ってきた怨念と憎しみを同時に味わっていく"追体験"が出来ないまま

話が進んで行ったから、

源平を悪しきキャラクターに仕立て上げたのが「形だけ」にしか見えなかったのが

物凄く痛手だったと思います。

 

次に「登場人物の多さ」に関しては、名前の通り、

竜一や竜二(高橋一生)に関わる描くべき登場人物が多過ぎた事。

人数が多いと、自ずと1人1人の設定も盛り込まざるを得ません。

曽根村(西郷輝彦)の実の息子が沖だという設定は本筋に無関係ですし、

"双子を翻弄する"立場は、美佐(松本穂香)がいなくても

まゆみ(松本まりか)だけで成立出来たかもしれません。

いや…双子を「ダブル主人公」として描くから混乱したんでしょうか?

 

極端に言えば、竜一の動きだけに焦点を当てていれば

物語の印象もかなり違ってきたでしょうし、竜二の場合も然りだと思うのです。

一人に絞っていれば、今回は成功した、失敗した、はい次…という

簡潔な構成に見えるから。

しかし、本作はメインの人物を二人にしたがために、

竜一と竜二でそれぞれ違うフィールドで関わるキャラクターが出てきて、

そうなると人間関係の"もつれ"も各所で生まれる訳で、

それが「復讐劇」である事を薄める最大の要因になってしまいました。

最終回で物語の迷走に更に拍車をかけたのが、沖の存在。

ネタとしてツッコむ分には面白い。けど、本作の題材でどうしても描かなければ

ならなかったかと言ったら、また別の話ですよね。

 

 

ここまで本作に対して感じていたモヤモヤを書いてしまったけれど、

役者の演技は良くて、それに見応えを覚えながら楽しんでいたのも事実で。

皆さん、言葉で表さなくとも、"目"で"涙"で決意や葛藤を醸し出されていたのが

本当に素晴らしかった。

松本まりかさんも最初は土曜のドラマの方が魅力的だなぁと思っていたけれど、

回を増すごとに人間らしいイキイキとした感じを取り戻していく変化が伝わって、

最終的に私の中での一番の主人公になるくらいには好きになっちゃいました。

キャストは大勝利でしたし、

光と影を活かした照明も大人っぽい雰囲気があって、演出も良かったです。

 

少年の件が回収されていないのが丸わかりなカットだったので、

竜一が刺されてバッドエンドだろうな〜…というのは予想通りだったものの。

3人で幸せを味わいたかった…と後悔の念を抱え、

それでも自分が犯した罪を認めながら亡くなっていくラストは

「自分のやってきた事は必ず返ってくる」といった教訓も含んだものになっていて、

考えさせられる点でいつまでも余韻が残りそうで。

この締め方は個人的にはアリだと思いました。

 

だがしかし!最後が好みのものだったので

終わり良ければすべて良しって言いたい所なんですけど…

どピンクの照明の部屋が見られなかった!

最終回も「ドコヘユクンダー♪」って歌いたかった!!

あら、話よりも、むしろこっちの方が心残りな気がしてきましたな(笑)

 

 

↓前回の感想はこちら↓

rincoro-ht.hatenablog.com

 

↓今までの感想はこちら↓

rincoro-ht.hatenablog.com